SNSやインターネットの利用が当たり前になっている現代ですが、中には危険な利用の仕方を行なっている人も多々いらっしゃいます。
この記事ではネット社会の危険性や、ネットリテラシーが低いために引き起こしてしまうトラブル、ネットリテラシー教育を学ぶ必要性などについて解説していきます。
本記事で分かること
- ネットリテラシーとは
- ネットリテラシーが低いと引き起こすトラブルとは
- ネットリテラシーが原因で行ったトラブルの事例
- ネットリテラシー教育の必要性
- ネットリテラシー教育の具体的な内容
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ネットリテラシーとは?
ネットリテラシーとは、「インターネットリテラシー」の略で、インターネットの便利さや、脅威やルールなどを適切に理解し、使いこなす能力のことを言います。この使いこなすと言うのは、技術的な意味合いだけではなく、その情報が正しい情報か誤った情報かを自分自身で判断できることも指しています。
このネットリテラシーを身に付けずに、インターネットやSNSを利用していると場合によっては犯罪に巻き込まれたり、自分自身が加害者となる恐れも出てきます。また、インターネットは、全世界に公開される特性を持っていますので、一度発信してしまった情報は削除を行おうと思っても現実的には難しいものがあります。
大人も子供も身につけておきたいネットリテラシー。具体的に解説していきます。
WEBなどで情報を検索する場合のネットリテラシー
何か調べ物をする際に真っ先に利用するのが、インターネットです。インターネットは世界中のどこからでもアクセスすることができますし、自身で情報を発信することもできます。
安易に情報を発信できることから、中には誤った情報が拡散されることも多々あります。情報を検索する場合は、信頼のおける情報であるか自分自身で取捨選択しなければいけないと覚えておきましょう。
さらに、インターネットを利用する場合はコンピューターウイルスにも注意しなければなりません。最近では、無料で利用できるソフトがたくさん存在しますが、無料だからと安心してはいけません。「もしかしたらウイルスが仕込まれているかもしれない」と危険を回避する力が必要です。
また、メールをよく利用する方はメールに添付されているファイルにも注意が必要です。身に覚えのないアドレスや題名、不審なメールが届いたら開封せずに削除することが大切です。
SNSなどで情報を発信する場合のネットリテラシー
若者を中心に爆発的な勢いで普及しているSNS。コロナ禍の影響で友人と会う回数が減ったため、SNSを通じてのコミュニケーションが盛んに行われています。ClubHOUSEと呼ばれる、音声を使ったSNSなども登場し、マスコミなどで多く取り上げられたことも記憶に新しいでしょう。
非常に便利なSNSですが、多くの方が匿名での利用を行なっていると思います。「匿名だったら何を発信しても大丈夫」と誤った認識を持っている方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。仮に匿名で書き込みや発信を行ったとしても、誰が行ったものなのかはSNS運営元に「プロバイダ責任制限法」に基づき開示請求を請求することで、特定できる可能性が非常に高いです。
実際に匿名で誹謗中傷を行って、逮捕や書類送検された事例がありますのでそういった行為は行わないようにしましょう。
ウイルスなどを防ぐために必要なネットリテラシー
コロナ禍の影響で一気に加速していったリモートワーク。リモートワークの他にも、業務の生産性を上げるためにIT化を推進する企業が非常に多くなってきました。クラウドサービスを導入し、データを管理するなど、これまで以上にインターネットを利用してやりとりを行うことが頻繁に行われています。
リモートワークを行う場合は、オフィスのサイバーセキュリティの環境とは異なり、勤務先のシステム等へ外部からアクセスすることになりますので、ウイルス感染のリスクが高まります。企業は、自社の社員に対してセキュリティの重要性をきちんと認識させることが求められており、ウイルスを防ぐために必要なネットリテラシーの重要性は日々高まっています。
ネットリテラシーが低いと引き起こすトラブルとは?
ネットリテラシーが低いと大人も子供もこのようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。「私は普段から気をつけているから大丈夫」などと思い込まずに、どのようなトラブルが考えられるのかをしっかり理解しましょう。
ビジネスシーンで考えられるトラブル
- 企業の内部情報や顧客リストなどの流出
- 企業SNSアカウントの炎上
- 社内ネットワークがウイルスに感染
まず、主に大人が巻き込まれるトラブルとしてあげたのが上記の3つです。一個人の行動により、会社の信頼を損ねることになりますし、社会に及ぼす影響は、計り知れません。
1.企業の内部情報や顧客リストなどの流出
まず始めに考えられるのは、会社の内部情報や顧客リストなどの個人情報の流出です。個人情報がインターネット上で流出してしまうと犯罪に巻き込まれる可能性があります。企業の信頼が損なわれることはもちろんですが、場合によっては多額の損害賠償を支払わなければなりません。
この情報流出に関しては、ネットリテラシーの低さが問題を引き起こしてしまうのではなく、個人情報を保管しているセキュリティの甘さも考えられます。個人情報の流出を避けるためには、ネットリテラシーを高めるだけではなく、セキュリティ面の見直しも必要だと言えるでしょう。
2.企業SNSアカウントの炎上
次に考えられるのが、企業SNSアカウントの炎上です。今や多くの企業が運用しているSNS。ユーザーと近い距離でコミュニケーションを取ることができる便利なツールですが、不適切な発言が問題となってしまうケースも少なくありません。
公式SNSの発言が問題となるだけではなく、社員個人のSNSアカウントからの不適切な投稿が不特定多数の目に留まり、炎上してしまうこともありえます。自分の務めている企業名や業務で知りえた情報はSNSに投稿しないように気をつけましょう。
3.社内ネットワークがウイルスに感染
企業のネットワークは常に悪質なハッキングや、ウイルス感染の危険と隣り合わせです。仮に一人の社員が不審なメールに気づかずに添付ファイルを開いてしまった場合、一気に社内中のパソコンがウイルスに感染してしまいます。社内の情報が流出してしまうことはもちろんですが、他のトラブルに発展する場合もあります。
大人も子どもも巻き込まれる可能性のあるトラブル
- インターネットやSNSでの誹謗中傷
- インターネットやSNSに個人情報を晒してしまう
- 知らない間に加害者になっていた
- 高額な金額の請求
大人、子ども問わずに巻き込まれる可能性があるトラブルがこちらです。一つずつ詳細を見ていきましょう。
1.インターネットやSNSでの誹謗中傷
誰もが毎日利用しているであろう、インターネットとSNS。中でも誹謗中傷はトラブルになりやすいと言えます。トラブルになりやすい原因としてあげられるのが匿名で簡単に書き込みができてしまうため。
自分の名前や容姿を晒すことなく、言いたいことをそのまま発信できてしまうので攻撃性が高い人もいます。誹謗中傷は罪に問われる可能性がありますし、匿名だからバレないだろうと思っていてもIPアドレスなどから誰が書き込みを行ったか特定することが可能なのです。
他人を誹謗中傷しないことはもちろんですが、仮に誹謗中傷をされている場合は一人で悩まずに周囲の人に相談することが大切です。誹謗中傷に対してしっかりと対策を取りたい場合は、誹謗中傷を専門としている業社や弁護士に相談するのがおすすめです。
2.インターネットやSNSに個人情報を晒してしまう
気軽に発信できてしまうSNSでは、知らない間に個人情報を晒していることがあります。個人情報と聞くと、生年月日や住所、電話番号を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は自身の顔写真も個人情報に該当するのです。
例えば「今日も仕事疲れた」などと一緒に最寄りの駅の写真を投稿すると、会社や自宅の位置が簡単に特定されてしまいますし、自身の顔写真があればストーカーに発展するかもしれませんので非常に危険です。
3.知らない間に加害者になっていた
SNSは一人が投稿した内容が一気に拡散される仕様になっています。例えば、「〇〇銀行が潰れるらしい」と投稿されている内容をあなたが見て、「他の人にも知らせよう」と思い、さらに拡散したとします。しかし、この投稿は真っ赤な嘘であった場合、残念ながら嘘の投稿に加担してしまったことになります。
このように知らない間に自身が加害者となってしまう可能性もありますので、情報が正しいのか嘘なのかを見抜く力が必要です。
4.高額な金額の請求
ある日突然見知らぬところから高額な料金の請求があることも考えられます。この原因として考えられるのが、ウイルスの感染です。インターネット上にあるさまざまな無料のアプリやゲーム。これがトラブルの原因となる可能性が非常に高いです。実は、アプリにウイルスが仕掛けられており、クレジットカードの番号を抜き取られることもあります。
ネットリテラシーが原因で起こったトラブルの事例
ネットリテラシーが原因で起こったトラブルの事例がこちらです。情報を受け取る側も発信する側も注意が必要です。
茨城県で起きたあおり運転を巡り、「同乗者の女」とのデマをインターネット上で広げられ名誉を傷つけられたとして、会社経営の女性が元市議の男性に計110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は男性に33万円の支払いを命じた。裁判長は「社会的評価を低下させた」と認めた。
男性は、インターネット上にあった「同乗者の女」というデマを引用し女性の顔写真と一緒に自身のFacebookに添付。「早く逮捕されるよう拡散お願いします」と投稿した。女性は多数の迷惑電話や千通をこえる誹謗中傷のメッセージを受けており、今後もネット上にデマの書き込みをした人の情報開示請求を進め、和解に応じない場合は訴訟を検討する。
引用元:日本経済新聞
和歌山県で2020年12月に施行された条例は、新型コロナウイルスに関連したあらゆる誹謗中傷を禁じるものです。和歌山県は会見で、条例施行後の1月の1ヶ月間で寄せられた新型コロナ関連の人権相談の件数が、前の年の平均に比べ約2.7倍に急増していると明らかにしました。
「コロナに感染した従業員が働いている」など個人や店舗を名指しして事実と異なる情報がネット上に書き込まれたとする相談が多く寄せられているということです。
引用元:ABCニュース
どのようにしてネットリテラシー教育を行うのか
インターネット、SNSを正しく安全に利用するために必要なネットリテラシー。このようなトラブルに巻き込まれないためには、しっかりとネットリテラシーに関する教育を行う必要があります。
では、ネットリテラシー教育を行う場合どのような点に注意しなければいけないのでしょうか。それがこちらです。
新入社員だけではなく社員全員で取り組む
入社して間もない新入社員はネットリテラシーが低いように思われがちですが、実は管理職世代の方もネットリテラシーが低い場合があります。時代の変化とともに、インターネット、SNSも急激な変化を遂げていますので、その変化に取り残されないためには、社員全員で真剣に取り組むことが大切です。
一度だけの教育ではなく定期的に行う
ネットリテラシー教育は、一度実施したから身につくものではないので、定期的に行うことが必要です。教育を行ってすぐは意識して行動すると思いますが、ある程度時間が空いてしまうと緊張感がなくなり気が緩んでしまうことを防ぐ目的もあります。定期的にネットリテラシー教育を行い、ネットリテラシー向上のためにはじっくり時間をかけて取り組みましょう。
ネットリテラシー教育の具体的な内容
ネットリテラシー教育を行う場合、このような方法が効果的です。
事例を交えて説明する
ネットリテラシー教育の重要性を訴えるよりも、実際に起こった事例を交えて説明することで、自分自身に置き換えて考えることができます。自分のこととして考えることができれば、よりリアルにイメージすることができますし、恐ろしさを感じることができるでしょう。
また、事例を聞いてどのように感じたかをグループで話し合い発表することも良いでしょう。
SNS利用に関する社内ガイドラインを作成する
ネットリテラシー教育を受けたとしても、曖昧な表現であったり個人によって解釈の仕方は違います。社員一人一人にきちんと理解してもらうために必要なのがガイドラインです。ガイドラインに明確に記すことで、会社の方針やSNS利用についてより注意してもらうことができます。
ガイドラインの内容は、SNSの利用方法や炎上した事例、トラブルを回避する方法、トラブルが発生した際の対処方法や上司への報告方法など、なるべく具体的で分かりやすい内容であるといいでしょう。
社用PCやスマートフォンに関する規定を作る
会社から社員に対してPCやスマートフォンを貸与する場合は、それらの利用に関する規定を作る必要があります。例えば社用PCを社外に持ち出す場合は申請を行う、個人のスマートフォンと社用PCを接続することは不可。などトラブルを防止するためにセキュリティ面の規定を作ることも大切です。
社用PCやスマートフォンの利用方法について、規定を作るのと合わせてウイルス対策のための意識づけを行うことも大切です。知らないメールアドレスからの添付ファイルは開かない、無料アプリのインストールを行わないなどを定めることで社内のセキュリティを安全に保つことができます。
まとめ
今回は、ネットリテラシー教育について解説しました。簡単にポイントをまとめておきます。
本記事のポイント
- ネットリテラシーは現代で切り離せないくらい重要
- 情報の信憑性を見抜く力が大切
- ネットリテラシーが低いとトラブルに巻き込まれる可能性がある
- ネットリテラシー教育を行うことでトラブルは防げる
- 一人一人が当事者意識を持ってインターネットを利用しなければならない
今回はネットリテラシーとはどんなことを指すのか、またネットリテラシー教育の方法について解説しました。普段何気なく利用しているインターネットやSNSですが、一歩踏みはずすと危険と隣り合わせだということがわかったと思います。
たくさんの情報が溢れている現代を生き抜くためには、正しい情報とそうではない情報を見抜く力が必要です。自分自身を守るためにもしっかりとネットリテラシーを身につけて、正しく安全にインターネットを利用するようにしましょう。