他人の名誉を毀損したり、他人を侮辱したりと止むことがないSNS上の誹謗中傷。当たり前のように誹謗中傷をしている人もいますが、SNS上の誹謗中傷はれっきとした犯罪です。実際にSNSで誹謗中傷した結果、逮捕されてしまったという人も存在します。
このように逮捕してもらうことができるので、もしもSNSで誹謗中傷された場合は警察に相談して相手を逮捕してもらいましょう。しかし、警察に逮捕してもらおうと言われても「SNS上の誹謗中傷はどのような罪に当てはまるのか?」という疑問を抱えている人も多いかと思います。
そのような方のために、この記事では、SNS上の誹謗中傷はどのような罪に問われる場合があるのかということについて具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
SNSでの誹謗中傷は3つの罪に問われる可能性がある
SNS上の誹謗中傷は3つの罪に問われる可能性があります。そのため、ここでは問われる罪の種類について具体的に説明していきます。
SNSでの誹謗中傷は名誉毀損罪に問われる場合がある
SNS上の誹謗中傷は、名誉毀損罪に問われる場合があります。名誉毀損罪とは、第三者が閲覧できる状態・場所で証拠を用いて判断できる情報を流し、特定の人物の社会的評価や社会的地位を違法に落とした際に成立する罪のことです。名誉毀損罪が成立する条件は以下の通りです。
名誉毀損罪が成立する条件
- 公然と
- 事実を摘示して
- 特定の人物の名誉を毀損した
具体的には、以下のような誹謗中傷をSNSでされた場合、誹謗中傷してきた相手は名誉毀損罪に問われる可能性が高いといえます。
名誉毀損罪が成立する可能性が高い誹謗中傷の具体例
- お前はフォロワーを金儲けの道具としか見てないだろ!この金の亡者が!
- ハイブランド品ばかりで良いな!でも、それ詐欺で稼いだ金だろ?
- お前の家族は万引き犯と人殺ししかいないのか?今すぐ消えてほしい家族だな!
SNSで誹謗中傷され、名誉毀損罪が成立した場合は、民事上の損害賠償請求をされる他、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」という刑事上の責任を追及されることがあります。
SNSでの誹謗中傷は侮辱罪に問われる場合がある
SNS上の誹謗中傷は、侮辱罪に問われる場合があります。侮辱罪とは、証拠を用いて判断できる情報を流していなかったとしても、第三者が閲覧できる状態・場所で特定の人物を侮辱した際に成立する罪のことです。侮辱罪が成立する条件は以下の通りです。
侮辱罪が成立する条件
- 公然と
- 事実を摘示していない
- 特定の人物を侮辱した
具体的には、以下のような誹謗中傷をSNSでされた場合、誹謗中傷してきた相手は侮辱罪に問われる可能性が高いといえます。
侮辱罪が成立する可能性が高い誹謗中傷の具体例
- プロフィール画像を変えろ!気持ち悪いんだよ!
- ゴミみたいな顔を晒すな!
- お前の存在価値なんてないからな!消えたほうが良いよ!
SNSで誹謗中傷され、侮辱罪が成立した場合は、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される「拘留」、又は1,000円以上10,000円未満の制裁金を納付する必要がある「科料」のどちらかが科されます。
SNSでの誹謗中傷は信用毀損罪に問われる場合がある
SNS上の誹謗中傷は、信用毀損罪に問われる場合があります。信用毀損罪とは、嘘の情報を流したり人を騙したりして、相手に経済的損失を負わせた場合に成立する罪のことです。信用毀損罪が成立する条件は以下の通りです。
信用毀損罪が成立する条件
- 虚偽の風説を流布している
- 偽計を用いている
- 相手の信用を毀損している(経済的損失を負わせること)
- 業務を妨害している
具体的には、以下のような誹謗中傷をSNSでされた場合、誹謗中傷してきた相手は信用毀損罪に問われる可能性が高いといえます。
信用毀損罪が成立する可能性が高い誹謗中傷の具体例
- お前の親が経営している会社ってブラック企業なんだろ!
- ○○さんが関係している会社は、もれなく脱税しているらしいよ
- ○○会社は国産と謳っているが、ふたを開けてみれば9割は外国産らしい
SNSで誹謗中傷され、信用毀損罪が成立した場合は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。
SNSで誹謗中傷した結果、実際に逮捕された事例もある
SNSで誹謗中傷した結果、罪に問われ、逮捕されてしまった人も存在します。そのため、ここではSNSで誹謗中傷したことで逮捕された事件の詳細について具体的に説明していきます。
高校生を誹謗中傷して無職の少年が逮捕
ここでは、高校生をSNSで誹謗中傷して無職の少年が逮捕されたという事件の詳細を紹介していきます。
事件の詳細
滋賀県在住の高校生を東京都内在住の無職の少年がSNSで誹謗中傷したとして、名誉毀損の疑いで逮捕されました。無職の少年は、2015年の7月から約1年に渡り、SNSで高校生を誹謗中傷する書き込みをしていたとされています。
具体的には、「様々な女ユーザーに迷惑行為を行い、最終的にはそんなことをやっていないと逃げ惑っている」という誹謗中傷をし続けていました。被害者の高校生は父親と警察署に相談をしに行きましたが、誹謗中傷され続けた高校生は、その翌日に遺書を残して自ら命を絶ってしまいます。
被害者の高校生が命を絶ってしまったことで、父は警察に被害届を提出しました。その後、犯人逮捕に向けた捜査が始まり、高校生を誹謗中傷していた無職の少年が逮捕されます。
NGT48に対して誹謗中傷していた男を逮捕
ここでは、NGT48に対して誹謗中傷していた男が逮捕されたという事件の詳細を紹介していきます。
事件の詳細
2020年7月21日、アイドルグループのNGT48メンバーを誹謗中傷する内容をSNSで投稿したとして、東京都新宿区在住の職業不明の容疑者を名誉棄損の疑いで逮捕しました。NGT48の運営会社の社長は、新型氏にNGT48劇場で行われた「NGT48 今後の活動に関する発表会」に出席しました。
そこで、社長は「絶対に許せない。(容疑者は)SNS上の情報を見て、それでメンバーが事件に関与していると思っておとしめようと思ったと。ありえないというか、あってはならない。デマによってメンバーが傷つくことはあってはならない。しかるべき対応をしていきたい」と語ります。
NGT48の関係者によると、今回の逮捕は氷山の一角だと言います。誹謗中傷の対象はNGT48のメンバーのみならず、運営会社にも及んでいるとのことです。
SNSで誹謗中傷された場合にあなたがやるべきこと
ここでは、SNSで誹謗中傷された場合にやるべきことを具体的に説明していきます。
真っ先に証拠を保存しよう
SNSで誹謗中傷された場合、まずは証拠を保存しましょう。SNSでの誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪、そして信用毀損罪などに問える場合があります。しかし、根本的に証拠がなければ「SNSで誹謗中傷された」と証明することができないので、相手を罪に問うことは出来ません。
そのため、弁護士や警察に相談する前に、まずは証拠を保存しておきましょう。
誹謗中傷の内容を投稿されたSNSに対して投稿の削除依頼を出す
証拠を保存した場合、次は誹謗中傷の内容を投稿されたSNSに対して投稿の削除依頼を出しましょう。削除依頼を出す手順は、SNSによって異なりますが、基本的には以下の手順で削除依頼を出すことができます。
削除依頼を出す手順
- 誹謗中傷の内容を投稿されたSNSアプリやサイトにアクセスする
- お問い合わせフォームを開く
- 必要事項を記入して送信する
- 削除依頼完了
SNSでの誹謗中傷で問われる罪の種類まとめ
この記事では、SNSでの誹謗中傷で問われる罪の種類について具体的にまとめました。もう一度おさらいすると、SNSでの誹謗中傷で問われる罪の種類は以下の通りです。
SNSでの誹謗中傷で問われる罪の種類
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- 信用毀損罪
SNSで誹謗中傷された場合は、スマートフォンのスクリーンショットやカメラでの撮影などで証拠を集めましょう。証拠を集めた後に、SNSに対して投稿の削除依頼を出すようにしましょう。