ふとしたことが原因で、誹謗中傷の書き込みをしてしまい、自らが加害者になってしまうこともあります。加害者になってしまった場合は、こちらから示談交渉を持ち掛けて示談金を支払い、できる限り円満に解決していきましょう。
しかし「示談金はいくら支払えば良いのだろうか?相場はあるのだろうか?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?この記事では、示談金の相場や示談交渉を行うメリットについて具体的にまとめてみました。示談金の相場が分からず困っているという人にとって、きっと役に立つはずなので参考にしてみてください。
損害賠償・慰謝料・示談金の意味について解説
損害賠償・慰謝料・示談金などと、同じような意味合いを持った言葉がありますが、違いは何なのでしょうか?「自分が知りたいことは、慰謝料の相場だった」という勘違いがあるかもしれませんので、まずは、それぞれの言葉の意味を説明していきます。
損害賠償とは
損害賠償とは?
損害賠償とは、相手に損害を負わせてしまった場合に、その損害を金銭で補償すること。
「相手に損害を負わせてしまった場合」というのは、相手の物を壊したり相手にケガをさせたりすることを指します。損害賠償と聞くと「損害賠償が発生するのは、刑事事件だけなのでは?」と考える人も多いかもしれませんが、民事裁判においても損害賠償は発生します。
慰謝料とは
慰謝料とは?
慰謝料とは、相手に肉体的・精神的な苦痛を与えた場合に、その苦痛を償うためのもの。
「精神的な苦痛」というのは、配偶者が不倫をしていた場合や配偶者からDVをされた場合、性的被害に遭った場合などを指します。損害賠償と慰謝料の違いは、以下の通りです。
損害賠償と慰謝料の違い
損害賠償:被害者の損害を金銭で補償すること。
慰謝料:肉体的・精神的苦痛を金銭で補償すること。
慰謝料は「損害賠償という大きな枠組みの中に、慰謝料がある」というイメージです。
出典:交通事故弁護士ナビ
示談金とは
示談金とは?
示談金とは、被害者と加害者が話し合いによって合意された金額のこと。
示談金には治療費や休業損害、通院交通費や慰謝料などが含まれており、内訳を大きく分けると損害賠償と慰謝料に分けられます。つまり、「損害賠償+慰謝料=示談金」という関係性が成り立ちます。
示談金の相場はいくら?
実は、示談金には相場がありません。示談金は被害者と加害者が話し合って決めるものなので、「SNSで誹謗中傷をした場合は示談金100万円」という明確な基準がある訳ではないのです。
しかし「示談金の相場がないと言われても困る」という人も多いと思いますので、慰謝料の相場を参考にしながら示談金の相場を考えていきましょう。慰謝料の相場は以下の通りです。
慰謝料の相場
- 被害者が一般人の場合→10~50万円
- 被害者が事業主の場合→50~100万円
- 影響力がある被害者(有名人・インフルエンサーなど)の場合→数十万円~数百万円
慰謝料の相場は、被害者の影響力によって大きく異なります。例えば、一般人であれば本人のみの被害で済みますが、事業主の場合は本人に加えて経営している会社も被害に遭う場合があります。
このように、慰謝料には相場がありますので、この相場を参考にしながら示談金を被害者と共に話し合ってみましょう。
示談交渉を行う3つのメリット
「そもそも示談交渉を行うメリットって何があるの?」と考える人も多いのではないでしょうか?ここでは、示談交渉を行う3つのメリットについて具体的に説明していきます。
民事裁判を避けることが出来る
1つ目のメリットは「民事裁判を避けられる」ことです。被害者は加害者に対して「損害賠償請求をしたい」という思いがあるため、民事裁判を起こそうとしていると考えられます。
つまり、民事裁判を起こそうとしている時点では、納得いく損害賠償金が被害者にまだ支払われていないということです。しかし、示談が成立した場合は、被害者も示談金に納得しているということですので、それ以上の金額を加害者に請求する理由はありません。
示談書にも「後日、新たに請求しないでくださいね」という規定を入れるのが一般的ですので、示談交渉が成立した場合は、民事裁判を起こされるという可能性は極めて低くなります。
前科が付くのを避けることが出来る
2つ目のメリットは「前科が付くのを避けられる」ことです。場合によっては刑事事件に発展する可能性もあるのですが、刑事手続きでは「示談が出来ているかどうか」が重要視されます。
根本的に示談交渉が成立している場合は、加害者を刑事告訴する必要はありませんので、刑事事件に発展する可能性は極めて低くなります。
仮に刑事告訴をされたとしても、逮捕されるまでの間に示談交渉が成立すれば、被害者が刑事告訴を取り下げてくれることもあります。また、逮捕されたとしても、起訴されるまでに示談交渉が成立すれば、不起訴になることもあります。
刑事事件に発展しない場合や刑事告訴を取り下げてくれた場合、そして不起訴になった場合はいずれも前科が付くことはありません。刑事裁判にまで発展してしまうと前科が付いてしまうので、前科を付けたくなければ、起訴されてから刑事裁判に発展する前に示談交渉を成立させるようにしましょう。
慰謝料や損害賠償を安くしてもらえる可能性が高まる
3つ目のメリットは「慰謝料や損害賠償を安くしてもらえる可能性が高まる」ことです。裁判が行われてしまうと裁判官の判断に従わなければいけませんが、示談交渉では話し合いで慰謝料や損害賠償について決めます。
つまり、示談交渉が出来る状態であれば、慰謝料や損害賠償の減額を交渉することも出来るのです。裁判官が下す慰謝料や損害賠償金よりも、低い金額で許してくれる被害者が多い傾向にあります。
示談交渉を行うべきタイミング
「示談交渉を行うメリットは分かったが、どのタイミングで示談交渉を申し出れば良いのだろうか?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?結論を言いますと「今すぐに示談交渉をするべき」です。
基本的に示談交渉が遅くなればなるほど、被害者に「もっと早く言うタイミングはあっただろう」「誠意が伝わらない」と思われてしまい、示談交渉が成立しにくくなります。
また、先ほど触れたように刑事裁判に発展してしまうと前科がついてしまいますので、相手に誠意を伝えるためにも、できる限り早い段階で示談交渉を持ち掛けるようにしましょう。
示談交渉を行う場合は弁護士に依頼しよう
加害者が「示談交渉をしたい」と言っても、被害者に「絶対に会いたくない」と言われ、示談交渉に応じてもらえないことも珍しくありません。このような事態を防ぐためにも、示談交渉を行う場合は弁護士に相談・依頼するようにしましょう。
弁護士に相談・依頼することで、被害者も「弁護士となら話しても良い」と示談交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。また、弁護士は示談交渉に応じてもらえないという場面に何度も遭遇しているため、どのように示談交渉まで持っていけば良いのかというノウハウを知っています。
弁護士は示談交渉のプロであるため、スムーズに示談交渉を成立させたいと考えている場合は、弁護士に相談・依頼してみましょう。
誹謗中傷の示談金の相場まとめ
この記事では、誹謗中傷の示談金の相場や示談交渉を行うメリットについて具体的にまとめてみました。もう一度おさらいすると、誹謗中傷の示談金の相場は以下の通りです。
誹謗中傷の示談金の相場まとめ
- 示談金の相場は存在しない。
- 慰謝料の相場を参考にして、示談金を交渉しよう
【慰謝料の相場】
- 被害者が一般人の場合→10~50万円
- 事業主の場合→50~100万円
- 影響力がある人(有名人・インフルエンサーなど)の場合→数十万円~数百万円
示談交渉を持ち掛けることで、示談金を安くしてもらえる場合や裁判まで発展しない場合もあります。しかし、被害者は示談交渉に応じてくれないということも考えられますので、その場合は、示談交渉のプロである弁護士に相談・依頼してみましょう。