現在も絶えることはない誹謗中傷。場合によっては「名誉棄損罪」や「侮辱罪」に問われることあります。しかし「どこからが誹謗中傷に当たるのだろうか?どこから犯罪になるの?」という疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、誹謗中傷に当たる基準と犯罪に当たる基準を具体的にまとめてみました。誹謗中傷・犯罪に当たる基準が分からないという人にとって、きっと役に立つはずなので参考にしてみてください。
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どこからが誹謗中傷に当たるのか?
SNSや職場などで悪口や陰口、嘘、デマ情報を流されていた時、法の専門家でない以上「どこからが誹謗中傷に当たるのか」「誹謗中傷と判断して対策を進めて良いものか」と判断に悩むところですよね。まずは、該当の書き込みや発言が誹謗中傷として判断しても良いのか、誹謗中傷の定義や具体例などを説明していきます。
誹謗中傷とは
誹謗中傷は以下のような意味を持っています。
誹謗中傷とは?
根拠がない悪口や文句で相手を傷つけること。
具体的に説明すると、本来誹謗中傷という言葉は「誹謗」と「中傷」に分けることが出来ます。誹謗とは「相手をそしること、悪く言うこと」と言う意味であり、中傷とは「根拠のない事柄を言いふらして、相手の名誉を傷つけること」という意味です。
これら2つの言葉を組み合わせて「誹謗中傷」という言葉が生まれました。つまり、どこからが誹謗中傷に当たるのかと言うと「根拠がない悪口や文句で、相手を傷つけた場合から」という結論に至ります。
誹謗中傷に当たる具体例
ここでは、誹謗中傷に当たる具体例を紹介していきます。
男女関係について誹謗中傷をされた場合
具体例
- 「Aさんは、奥さんがいるのにも関わらず、不倫をしているらしい」という嘘の情報をSNSに書き込まれた。
- 「Bさんは浮気ばかりして、最低な男だね」という嘘の情報を会社内で言いふらされた。
- 「Cさんって、毎週日曜日の昼間から不倫相手とデートしているらしい」という嘘の情報を掲示板に書き込まれた。
上記のように、一般的に良く思われないような事を、あたかも本当にやっていると匂わせる発言は誹謗中傷に当たります。
犯罪に関する誹謗中傷をされた場合
具体例
- 「〇月〇日 ○○線の中でこの人に痴漢されました」という嘘の情報を顔写真と共にSNSに投稿された。
- 「株式会社○○で働いているAさん一家は、過去に万引きを繰り返していた犯罪者家族」という嘘の情報を掲示板に書き込まれた。
- 「Bさんは、○○事件に関わっているらしい」という嘘の情報をSNSに投稿された。
上記のように、やってもいない犯罪行為をあたかもやっているかのように発言する行為は、誹謗中傷に当たります。
嘘のレビューでお店の評判を下げた場合
具体例
- 「○○県○○市にある○○ラーメン屋は、お客さんが食べなかったものを使いまわしている」という嘘の情報を口コミに書き込まれた。
- 「A店は、賞味期限切れの調味料ばかり使っているから最悪」という嘘の情報でレビューを書き込まれた。
- 「B店は夏になると店の中に虫が湧いて、虫がご飯の中に入ってくるから夏は行くな」という嘘の情報を口コミに書き込まれた。
上記のように、嘘の情報を用いてお店の評価を下げるような行為は誹謗中傷に当たります。
誹謗中傷はどこから罪に当たるのか?
誹謗中傷は罪に問われる場合もあります。ここでは、どこからが罪に当たるのかについて具体的に説明していきます。
名誉を毀損すると名誉毀損罪に当たる場合がある
誹謗中傷によって、相手の名誉を毀損した場合は「名誉毀損罪」に当たる場合があります。
名誉毀損とは?
名誉毀損とは、公然と事実を摘示して、相手の名誉を毀損すること。
つまり、不特定多数の人の目に触れる場所で、具体的な内容を示しながら、相手の社会的評価を下げた場合に名誉毀損罪が成立します。
名誉毀損に当たる具体例
ここでは、名誉毀損に当たる具体例を紹介していきます。
週刊誌や雑誌に取り上げられて誹謗中傷をされた場合
具体例
- 「○○山で発掘した○○には疑惑がある」と週刊誌に掲載された。
- 雑誌に「○○さんは株価操作をしている疑いがある」という噂を掲載された。
- 週刊誌に「○○氏は○○事件に関与している」と情報を掲載された。
上記のように、真実を証明できない事柄や確証を持てない事柄をメディアに取り上げてしまうと、名誉毀損罪に当たる場合があります。
インターネットで誹謗中傷をされた場合
具体例
- 掲載期間経過後も、HPに個人情報を掲載され続けた。
- 悪ふざけや悪口がインターネットで拡散され、お店の評価が下がった。
- インターネット上で「○○さんは詐欺師だ!」とデモのような行為を行った。
インターネットが普及してからは、インターネット上の誹謗中傷被害が増えています。もちろん、インターネット上の誹謗中傷であっても、場合によっては名誉毀損に当たります。
書籍や新聞で誹謗中傷をされた場合
具体例
- 出版した書籍の内容を見てみると、明らかに○○さんを名誉毀損している内容だった。
- 伏字を使っているが、人物を簡単に特定できる内容で書籍を出版した。
- 書籍の一部を盗用して、新聞に掲載した。
上記のようにAさんや○○さんという伏字を使ったとしても、明らかに誰か分かるような情報を発信した場合は、名誉毀損罪に当たります。
侮辱をすると侮辱罪に当たる場合がある
誹謗中傷によって、相手を侮辱した場合は「侮辱罪」に当たる場合があります。
侮辱とは?
侮辱とは、公然と事実を摘示しないで、相手を侮辱すること。
名誉毀損は「事実を摘示」しなければ成立しませんが、侮辱に関しては「事実を摘示していない場合」に成立します。
侮辱に当たる具体例
ここでは、侮辱に当たる具体例を説明していきます。
「バカ」と言われた場合
具体例
- 他の社員がいる中で「どうしてお前はそんなにバカなんだ」と言われた。
- 学校のクラス内で「Aさんはバカだから仕方ない」と言われた。
- 同窓会で「Bさんは相変わらずバカが治っていないんだね」と言われた。
「バカ」という言葉は具体的な内容ではないので、「事実を摘示していない」という条件が当てはまります。同時に、不特定多数の人の前で「バカ」と発言されているので「公然と」という条件が当てはまり、上記の例は全て侮辱罪に当たります。
インターネット上で「あほ」と言われた場合
具体例
- SNSで「Aさんはあほです」という内容を投稿された。
- SNSのコメント欄で「Bさんって本当にあほだよね」というコメントをされた。
- 掲示板で「○○社の○○って本当にあほなんだよね」と書き込まれた。
まず「あほ」という言葉は具体的な内容ではないので、事実を摘示していません。「公然と」が成立するかどうかですが、SNSや掲示板であれば不特定多数の人の目に触れる可能性があるため、侮辱罪が成立します。
しかし、メールやLINEの個人トークのみでのやり取りだった場合は「公然性がない」と判断されてしまい、侮辱罪が成立しない場合もあります。
匿名で誹謗中傷をされた場合
具体例
- SNSの匿名アカウントで「バカ」「能無し」と投稿した。
- 匿名アカウントを使って掲示板に「○○はマジでゴミ」という投稿をした。
- 匿名でブログを立ち上げ、芸能人の誹謗中傷をする記事を投稿した。
最近はこのような「ネット誹謗中傷」という被害が増加しています。「匿名だから何してもバレないだろう」と考えている人も多いかもしれませんが、実はプロバイダ責任制限法と言う法律によって、発信者情報を簡単に特定されてしまいます。
このように匿名で誹謗中傷をした場合でも、侮辱罪に問われる可能性があるので注意しましょう。
誹謗中傷か判断がつきにくい場合の対処方法
明らかに誹謗中傷と判断できるケースであれば警察署に相談しやすいのですが、明確な線引きが曖昧であるため誹謗中傷なのか判断がつきにくい場合も多いです。
誹謗中傷なのか曖昧な場合、次のような相談窓口があります。
- 弁護士に相談する
- セーファーインターネット協会(SIA)の誹謗中傷ホットラインへ相談する
- 総務省の違法・有害情報相談センターへ相談する
- 法務省の人権相談窓口へ相談する
- 誹謗中傷対策を専門とする企業に相談する
一つずつ見ていきましょう。
方法①弁護士に相談する
インターネット上での誹謗中傷被害が多発していることから、ネットでの誹謗中傷対策を強みとしている弁護士あるいは弁護士事務所があります。弁護士に相談するメリットは、相談内容が誹謗中傷に該当したと判断された場合、解決まで導いてくれることです。
被害者の代理人として投稿の削除請求や発信者の情報開示請求などを行ってくれる他、加害者に対して損害賠償の請求や刑事告訴も可能です。
費用はかかりますが解決まで最短の道のりを辿りたい人は弁護士への相談がおすすめと言えます。
また、一定の条件をクリアしていれば無料で法律相談ができる法テラスを利用してみると良いでしょう。
方法②セーファーインターネット協会(SIA)の誹謗中傷ホットラインへ相談
セーファーインターネット協会(SIA)とは、主にインターネットソリューションを扱う大手企業の有志によって運営されており、ネット上の誹謗中傷に対する相談を無料で受け付けています。記憶に新しい東京2020オリンピック・パラリンピック大会において選手が受けた誹謗中傷に対しての問題解決にも取り組んでいます。
セーファーインターネット協会の強みは、プロバイダに対して投稿削除の対応依頼ができることです。「刑事告訴までは事を大きくしたくないが、ネット上の誹謗中傷は削除してもらいたい」といった場合は、セーファーインターネット協会の誹謗中傷ホットラインを利用してみてください。相談料は無料です。
方法③総務省の違法・有害情報相談センターへ相談
誹謗中傷の相談窓口は国でも用意されており、その一つが総務省の違法・有害情報相談センターです。
違法・有害情報相談センターでは、インターネット上の違法な情報や害のある情報に対してアドバイスや情報提供を実施しています。弁護士やセーファーインターネット協会のように代理請求などは行っていませんが、トラブルに対する適切な解決策を案内してくれます。相談料は無料です。
方法④法務省の人権相談窓口へ相談
法務省でも誹謗中傷に対する相談窓口を設けています。こちらは人権相談窓口という名称で、あらゆる人権問題に対する相談を受け付けており、インターネットでの誹謗中傷も該当します。いじめや家庭内暴力などの相談も受ける法務局の職員や人権擁護委員などのプロフェッショナルが最善の方法を考えてくれますので、抱えている不安などを吐き出したい・誰かに聞いてもらいたいという方の強い味方となるでしょう。
こちらの窓口も相談料は無料です。
方法⑤誹謗中傷対策を専門とする企業に相談
法的措置を取らずに誹謗中傷対策を取るのであれば、誹謗中傷対策を専門とする民間企業がおすすめです。誹謗中傷が書かれているサイトの検索順位を落とし、ユーザーの目に触れないようにする逆SEO対策がその方法の一つです。この方法であれば、明確に誹謗中傷だと言い切れない場合でも解決できますし、加害者に対して動きを知られることもありません。
人権や被害に関する相談は弁護士や公的機関へ、ネット上での対策は専門サービスへ依頼するといった対策をすれば早急な解決につながります。
まずは誹謗中傷対策のプロである弊社へ、お気軽にご相談ください。相談料は無料です。
どこから誹謗中傷に当てはまるのかまとめ
この記事では、誹謗中傷に当たる基準や罪に問われてしまう基準について具体的にまとめてみました。もう一度おさらいすると、誹謗中傷に当たる基準、罪に当たる基準は以下の通りです。
記事のまとめ
- 根拠がない悪口や文句で相手を傷つけた場合は、誹謗中傷に当たる。
- 公然と事実を摘示して、相手の名誉を毀損した場合は、名誉毀損に当たる。
- 公然と事実を摘示しないで、相手の侮辱した場合は、侮辱罪に当たる。
匿名で誹謗中傷をしたとしても現在は簡単に特定されてしまいますので、「カッとなった」「ムカつく」と言う感情が現れた場合は、すぐに誹謗中傷をするのではなく、一息置いて冷静に対応することを心がけましょう。