罪に問われる可能性があるのにも関わらず、今では当たり前のように使われている誹謗中傷。あまりにも酷い誹謗中傷は罪に問える場合があると同時に、慰謝料を請求することも出来ます。
しかし、「慰謝料を請求することが出来る」と言われても個人で慰謝料を請求する方法など分からない方も多いかと思います。
そのような方のために、この記事ではツイッターで誹謗中傷してきた加害者に対して慰謝料を請求する方法とその手順を具体的まとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
手順1:慰謝料を請求できる可能性が高いか弁護士に相談しよう
基本的には、裁判を起こして慰謝料を請求していくのですが、裁判を起こしたからと言って必ず慰謝料を請求することが出来るという訳ではありません。
慰謝料を請求するための裁判が終わるまでに1年程度かかります。結局、慰謝料は請求できなかったとなると、その1年間は無駄になってしまうので、「慰謝料を請求できる可能性は高いか」ということをまずは弁護士に相談してみましょう。
最近は、無料相談を実施している弁護士事務所も多いので、気軽に相談してみてください。
手順2:誹謗中傷したツイッターアカウントのIPアドレスとタイムスタンプを特定しよう
弁護士に相談して「慰謝料を請求できる可能性が高い」という結果になった場合は、実際に加害者に対して慰謝料を請求するための行動を起こしていきましょう。
慰謝料を請求するためには、加害者のツイッターアカウントを特定していかなければいけないので、まずは加害者が利用しているツイッターアカウントのIPアドレスとタイムスタンプを特定していきます。
IPアドレスとタイムスタンプの説明
- IPアドレスとは、タブレットやスマートフォンなど、インターネットに接続する製品に割り振られている番号のこと。インターネット上の住所のような役割を担っている。
- タイムスタンプとは、ツイッターで誹謗中傷が行われた際の日時・日付・時刻などが記録されている文字列。
IPアドレスとタイムスタンプを特定するためには、ツイッター社に対して開示請求を行っていく必要があるのですが、IPアドレスとタイムスタンプは誹謗中傷した加害者の個人情報なので、ツイッター社も簡単には開示してくれません。
基本的に個人や弁護士からの開示請求には応じてくれませんので、ほとんどの場合は「発信者情報開示仮処分命令申立」という手続きを行っていくことになります。
「発信者情報開示仮処分命令申立」とは?
発信者情報開示仮処分命令申立とは、裁判所からIPアドレスとタイムスタンプの開示をツイッター社に命じてもらう手続きのこと。
手順3:誹謗中傷したツイッターアカウントが利用しているプロバイダを特定しよう
ツイッター社から誹謗中傷したツイッターアカウントのIPアドレスとタイムスタンプを開示してもらうことが出来た場合、次は誹謗中傷したツイッターアカウントが利用しているプロバイダを特定していきます。
プロバイダの説明
- プロバイダとは、KDDIやソフトバンクのように回線をインターネットと接続する役割を担っている接続事業者のこと。
最近は、「ドメイン/IPアドレス サーチ 【whois情報検索】」というようなIPアドレスとタイムスタンプが判明していれば、簡単にプロバイダを特定することが出来るサービスもあります。
無料のサービスでも問題ありませんので、このようなサービスを活用して、誹謗中傷したツイッターアカウントが利用しているプロバイダを特定していきましょう。
手順4:誹謗中傷したアカウントが利用しているプロバイダに対して記録の保存依頼を行おう
プロバイダを特定した場合、次はそのプロバイダに対して記録の保存依頼を行っていきます。
プロバイダに保存されているIPアドレスとタイムスタンプは、誹謗中傷の投稿がされてから3~6ヶ月で自動的に削除されてしまいます。
IPアドレスとタイムスタンプがプロバイダから削除されてしまうと慰謝料を請求するのが難しくなってくるので、そのような事態を防ぐために「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」という手続きを行いましょう。
「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」とは?
「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」とは、裁判所からプロバイダに対して誹謗中傷したツイッターアカウントを特定するために必要な情報を削除せず、保存しておいてもらうよう命じてもらう手続きのこと。
基本的には、順調に行われると2週間程度で裁判所からプロバイダに対して情報の削除禁止命令が出されます。
手順5:誹謗中傷したツイッターアカウントが利用しているプロバイダに対して控訴を行おう
裁判所から情報の削除禁止命令が出された場合、次はプロバイダに対して「発信者情報開示仮処分命令申立」という控訴手続きを行っていきます。
「発信者情報開示仮処分命令申立」とは?
発信者情報開示仮処分命令申立とは、裁判所からプロバイダに対して誹謗中傷したツイッターアカウントの氏名や住所といった個人情報を開示するよう命じてもらう手続きのこと。
発信者情報開示請求訴訟の手続きを行うと、大体1~2ヶ月に1回のペースで裁判が開かれ、審理(事実関係や法律関係について明らかにしていくこと)が進められます。
誹謗中傷された側の主張が認められた場合、裁判所からプロバイダに対して契約者情報の開示を求める判決が出されます。
そして、プロバイダから契約者情報の開示を受けることで、誹謗中傷したツイッターアカウントを使っている加害者本人を特定することが出来ます。
手順6:誹謗中傷した加害者と示談交渉しよう
誹謗中傷したツイッターアカウントを使っている加害者本人を特定することが出来た場合は、慰謝料を請求するための裁判を起こしていかなければいけません。
しかし、裁判を起こすと訴えた側が裁判費用を支払う必要があると同時に判決が出るまで1年程度かかります。膨大な時間と費用が掛かってくるので、一般的には慰謝料を請求する裁判を起こす前に示談交渉の場を設けてくれます。
示談交渉が行われる手順は以下の通りです。
示談交渉が行われる手順
- 加害者に対して慰謝料請求の通知書を内容証明郵便で送る
- 加害者が通知書を確認する
- (加害者が通知書の内容に納得した場合)慰謝料が被害者に支払われる
- (加害者が通知書の内容に納得しなかった場合)慰謝料の交渉が行われる
手順7:慰謝料を請求するための裁判を起こそう
示談交渉が決裂してしまった場合は、弁護士と共に慰謝料を請求するための裁判を起こしていきましょう。
損賠賠償請求事件の民事裁判という形で裁判を起こすことになり、基本的には被害者が住んでいる地域の裁判所で行われます。
ワンポイントアドバイス
請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所で提訴し、請求額が140万円以上の場合は地方裁判所で提訴しなければいけないという決まりがあります。
慰謝料を請求するための裁判を行い、被害者の主張を裁判所が認めてくれれば、加害者から被害者に対して慰謝料が支払われることになります。
ツイッターで誹謗中傷した人に慰謝料を請求する方法とその手順まとめ
この記事では、ツイッターで誹謗中傷した人に慰謝料を請求する方法とその手順について具体的にまとめました。
もう一度おさらいすると、ツイッターで誹謗中傷した人に慰謝料を請求する方法とその手順は以下の通りです。
まとめ
- 慰謝料を請求できる可能性は高いか弁護士に相談する
- 誹謗中傷したツイッターアカウントのIPアドレスとタイムスタンプを特定する
- 誹謗中傷したツイッターアカウントが利用しているプロバイダを特定する
- 誹謗中傷したアカウントが利用しているプロバイダに対して記録の保存依頼を行う
- 誹謗中傷したツイッターアカウントが利用しているプロバイダに対して控訴を行う
- 誹謗中傷した加害者と示談交渉する
- 慰謝料を請求するための裁判を起こす
誹謗中傷は犯罪に問えることもあります。もしも、慰謝料の請求だけではなく加害者を逮捕したいと思っている場合は「芸能人に誹謗中傷をしてくる人は逮捕できる!どのような罪に問えるのかも徹底解説!」を参考にしてみてください。
https://webleach.net/blog/slander/3463/