ネットの誹謗中傷が原因で一人の女性が命を絶ってしまったということを受けて、現在はネットの誹謗中傷に注目が集まっています。そのような事件が発生した後、ある弁護士事務所には「軽い気持ちで誹謗中傷してしまい後悔している」「自分はどうなってしまうのか」という相談が多く寄せられているようです。
このように自分の過ちに不安を抱えている人がいる中で「そもそもネットの誹謗中傷は法律違反なのだろうか?」という疑問を抱えている人も多いかと思います。
そのような方のために、この記事ではネットで誹謗中傷した際に法律違反になる可能性や法律違反するとどのようなことが待っているのかということについて具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
ネット上で誹謗中傷することは法律違反なのか?
結論から言いますと、度を超えたネットの誹謗中傷は法律違反になる場合があります。例えば、特定の人物の社会的評価を違法に下げた場合や誹謗中傷によって相手の業務を妨害してしまった場合などは刑事処罰の対象になることがあります。
よく「有名人には、有名税がある。だから誹謗中傷しても問題ない」という人がいますが、有名人だから誹謗中傷しても良いという訳ではありません。根本的に日本には「すべての国民は、個人として尊重される」という憲法が定められているので、相手が有名人であっても一般人であっても度を越えた誹謗中傷をするのは許されないこととされています。
ネットで誹謗中傷して法律に違反すると損害賠償請求をされることがある
ネットで誹謗中傷してしまった場合、その誹謗中傷で相手が精神的苦痛を負ってしまう場合があります。このように、誹謗中傷で相手に精神的苦痛を負わせた場合は、相手から損害賠償請求をされることもあります。
損害賠償請求とは?
損害賠償請求とは、違法な発言や行動により損害・被害を受けた者が、その原因を作った相手に損害や被害を埋め合わせするための金銭的補償を求める請求のこと。
損害賠償請求することが出来る金額に関しては、一律〇〇万円と決まっているわけではなく、損害や被害を負った相手の影響度によって変動してきます。請求される可能性がある損害賠償金の相場は以下の通りです。
損害賠償金の相場
- 一般人の場合→10~50万円
- 事業主の場合→50~100万円
- 有名人の場合→50万円~
影響度によって損害賠償請求される金額が変わってくる理由は、その人が抱えているものが違うからです。例えば一般人がネットで誹謗中傷されたとしても、失うものはあまりないと思います。
しかし、事業主が誹謗中傷されてしまうと事業主が経営していた会社の信用やイメージが損なわれてしまい、会社の売上が下がってしまうかもしれません。場合によっては、倒産まで追い込まれてしまい、多くの社員を解雇しなければいけないという状態になることもあるでしょう。
こうなってしまうと、ネットで誹謗中傷した加害者は事業主のみならず、事業主が経営している会社やその会社に勤めている社員にもダメージを加えたと判断されかねません。したがって、被害者の影響度が大きければ大きいほど損害賠償請求される金額も高額になってくるのです。
ネットで誹謗中傷して法律に違反すると罪に問われることがある
ネットで誹謗中傷して法律に違反してしまうと様々な罪に問われる場合があります。ここでは、問われる可能性が高い罪について具体的に説明していきます。
加害者は名誉毀損罪に問われる場合がある
ネットで誹謗中傷して法律に違反してしまうと名誉毀損罪に問われる可能性があります。
名誉毀損罪とは?
名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した際に成立する罪のです。
簡単に説明すると「第三者に知れ渡る状態・場所で、証拠を用いて判断できる誹謗中傷を行い、相手の社会的評価や社会的地位を違法に落とした際に成立する罪」ということです。ネットで誹謗中傷して法律に違反してしまうと様々な罪に問われるのですが、その中でも名誉毀損罪は比較的重い罪だと言われています。
名誉毀損罪が成立すると、権利侵害を理由とする損害賠償責任や3年以下の懲役刑、そして50万円以下の罰金刑などを科される場合があります。
加害者は侮辱罪に問われる場合がある
ネットで誹謗中傷して法律に違反してしまうと侮辱罪に問われる可能性があります。
侮辱罪とは?
侮辱罪とは、事実を摘示していなくても公然と人を侮辱した際に成立する罪です。
簡単に説明すると「証拠を用いて判断できる誹謗中傷ではないとしても、第三者に知れ渡る状態・場所で相手を侮辱した際に成立する罪」ということです。名誉毀損罪と比べると侮辱罪は比較的軽い罪だと言われています。
侮辱罪が成立すると、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される「拘留」、1,000円以上10,000円未満の制裁金を納付する必要がある「科料」のどちらかが科される場合があります。
加害者は脅迫罪に問われる場合がある
ネットで誹謗中傷して法律に違反してしまうと脅迫罪に問われる可能性があります。
脅迫罪とは?
脅迫罪とは、特定の人物やその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加えるということを告知して、脅した際に成立する罪
簡単に説明すると「特定の人物やその人物の親族に対して殺すぞ、ケガさせるぞなどという告知をして、相手を脅した際に成立する罪」ということです。脅迫罪が成立すると、2年以下の懲役、30万円以下の罰金のどちらかが科される場合があります。
ネットで誹謗中傷して加害者になってしまった場合の対処方法
インターネットが普及した現在は、知らない人に対しても気軽にメッセージを送ることが出来るようになりました。気軽にメッセージを送ることが出来るようになったため、軽い気持ちで相手に誹謗中傷のメッセージを送ってしまったという人もいるかと思います。
もしも、相手に誹謗中傷のメッセージを送ってしまった場合は、相手に対してすぐ謝罪しましょう。実は、ネットで誹謗中傷された被害者が加害者を訴えるとなると数十万円という高額な費用が必要になりますし、訴えてから裁判が終わるまで1年程度の長い期間を必要とします。
また、被害者は証拠を集めたり弁護士に相談したりと少々面倒な手間がかかります。このように、ネットで誹謗中傷してきた相手を訴えるだけでも、膨大な費用や時間、そして手間がかかってしまうので加害者側も出来れば裁判を起こしたくないと思っている人が多い傾向にあります。
そのため、裁判を起こされる前に誹謗中傷したことを謝罪することでほとんどの場合は、許してもらえます。裁判を起こされてから謝罪しても遅いので、「いけないことをしてしまった」と感じた場合は、すぐにネットで誹謗中傷してしまった相手に謝罪しましょう。
ネットで誹謗中傷することは法律違反なのかまとめ
この記事では、ネットで誹謗中傷することは法律違反なのかということや法律を違反してしまうとどうなってしまうのかということについて具体的にまとめました。もう一度この記事をおさらいすると、以下のようになります。
ネットで誹謗中傷することは法律違反なのかまとめ
- 芸能人に対しても一般人に対しても、度を超えた誹謗中傷をすると法律違反になる
- ネットで誹謗中傷してしまうと相手から損害賠償請求をされる場合がある
- ネットで誹謗中傷してしまうと「名誉毀損罪」「侮辱罪」「脅迫罪」などに問われる場合がある
現在は、当たり前のように誹謗中傷している人がいますが、誹謗中傷はれっきとした犯罪行為です。被害者が弁護士や警察に相談した場合、誹謗中傷していた人たちは多額の損害賠償請求をされる場合があると同時に、逮捕されてしまうこともあります。もしも、相手に誹謗中傷してしまった場合は被害者に対してすぐに謝罪しましょう。