同じような意味で使われることが多い「誹謗中傷」と「批判」。もちろん、それぞれ異なった意味を持っていますし、使いどころも異なります。
しかし、それぞれ違う意味を持っていると言われたとしても「誹謗中傷と批判は何が違うのか?」という悩みを抱えている人も多いと思います。そのような方のために、この記事では誹謗中傷と批判の違いについて具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
誹謗中傷の意味と例文について解説
誹謗中傷と批判の違いを知るためには、それぞれの言葉の意味を把握しなければいけません。そのため、ここでは「誹謗中傷」という言葉の意味や例文などについて具体的に説明していきます。
嫌がらせや悪口を発することを「誹謗中傷」と言う
根本的に「誹謗中傷」という言葉は「誹謗」と「中傷」という2つの言葉に分けることが出来ますので、まずはそれぞれの言葉の意味から説明していきます。
「誹謗」は、虚像の情報や証拠がない情報で相手を罵り貶めるという意味を持っており、「中傷」は特定の人物に対して嫌がらせや悪口を発することという意味を持っています。
それらの意味が合わさって「誹謗中傷」という言葉が出来上がったため、「誹謗中傷」という言葉は以下のような意味を持っています。
誹謗中傷とは?
誹謗中傷とは、虚像の情報や具体的な理由がない情報で特定の人物を罵り貶め、嫌がらせや悪口を発すること。
例えば、「お前は会社のお荷物だ!さっさと消えろ!」という比較的重い暴言も誹謗中傷になりますし、「お前みたいなアホはいない」という比較的軽い暴言も誹謗中傷になります。
よく「有名人や著名人に対しては誹謗中傷しても良い」と思っている人が一定数いますが、有名人であっても一般人であっても誰かに誹謗中傷するというのは許されない行為です。
ざっくりとはしてしまいますが「悪口」のほとんどが誹謗中傷に当てはまるので注意しましょう。
誹謗中傷に当てはまる例文まとめ
ここでは、誹謗中傷に当てはまる例文について説明していきます。例えば、以下のような例文はすべて誹謗中傷に当てはまる可能性が高いと言えます。
誹謗中傷に当てはまる可能性が高いといえる例文
- ○○病院の医院長は受付の○○さんと不倫しているらしい
- ○○学校に通う○○君の親は、銀行強盗をした元犯罪者らしいよ
- 女優の○○さんは、反社会勢力の○○組と関わっているらしい
- 新入社員の○○さんは、本当にバカなんだよね
- モデルの○○さんって、本当ブサイクで気持ち悪い
- ○○部に所属している○○さんは、アホっぽい顔をしているから家族もアホなんだろうね
- ○○投資会社は、客が損をする金融商品しか勧めてこないらしい
- ○○会社の社長は、過去に詐欺で荒稼ぎしたらしい
- ○○レストランは、客が残した食べ物を使い回している
- ○○病院は、ヤブ医者しかいない
批判の意味や例文について解説
ここでは、「批判」という言葉の意味や例文について具体的に説明していきます。
物事を判定したり評価したりすることを批判と言う
批判は、以下のような意味を持っています。
批判とは?
批判とは、特定の物事を判定したり評価したりすること。
基本的には上記の意味で使われることが多いですが、他には「言動や行動の誤り・欠点を指摘して、正しい答えを論じること」や「認識や学説の基盤を研究して、物事が成立する条件を明らかにすること」という意味も持ち合わせています。
また、一般的に「批判」という言葉は悪い表現として使われますが、特定の物事を判定したり評価したりすることという意味を持っているので、良い意味でも使われることがあります。例えば、「○○に○○というやり方を加えると最も良くなるはず」という言葉も場合によっては、批判として捉えられます。
批判に当てはまる例文まとめ
ここでは、「批判」に当てはまる文章の例を説明していきます。例えば、以下のような例文はすべて「批判」に当てはまる可能性が高いと言えます。
批判に当てはまる可能性が高いといえる例文
- AプランよりもBプランで物事を進めた方が良いのではないでしょうか?
- ○○さんの意見は違う!○○すべきだ!
- その意見は差別的だと思います!○○という表現にした方が良いと思います
- ○○だから○○という考えは甘い!○○という考えも持つべきだ!
- その視点だけでは落とし穴がある!○○という視点を持つべきだ
- 貧困問題は○○が原因だというが、○○という原因もあるのではないか?
- ○○という課題を解決するためには、○○を導入してみる必要がある
- ○○を改善すれば、売上がアップするのではないか?
このような「批判」に関しては、ディベートや会議などでよく使われます。
誹謗中傷と批判の違いは「人格攻撃をしているかどうか」
これまで、誹謗中傷と批判の概要や例文などを具体的に説明してきました。誹謗中傷と批判の違いを何となく理解できたという人もいるかと思いますが、まだ良く分からないという人も多いと思いますので、ここでは誹謗中傷と批判の違いについて具体的に説明していきます。
まず結論から言いますと、誹謗中傷と批判の違いは「人格攻撃をしているかどうか」というところです。まず、それぞれの定義をおさらいしてみましょう。
誹謗中傷と批判の定義
- 誹謗中傷とは、虚像の情報や具体的な理由がない情報で特定の人物を罵り貶め、嫌がらせや悪口を発すること。
- 批判とは、特定の物事を判定したり評価したりすること。
つまり、特定の人物の人格を否定したり侮辱したりした場合に「誹謗中傷」という言葉が使われ、場合によっては相手に損害や被害を負わせることもあります。それに対して、特定の人物の人格を否定したり侮辱したりせず、発言や行動を判定・評価した場合は「批判」という言葉が使われます。
具体例を取り上げながら、さらに詳しく説明していきましょう。例えば以下のようなやり取りがあったとします。
例文
- 「お前は何をやらせてもだめだ!本当に使えないゴミみたいな人材だ!」と上司に言われた
上記の文章は「ゴミみたいな人材」と被害者の人格を否定していますので、この例文は誹謗中傷として扱われます。反対に、以下のようなやり取りがあったとしましょう。
例文
- 新入社員Aさんは、上司に「いやいや、その考えだとだめだ!もう少し○○な考えを持たないといけないだろう」と言われた。
まず、上記の文章を見て分かるのは「上司は新入社員Aさんの人格を否定していない」ということです。その上で、新入社員Aさんの考えを判定・評価していますので、上記の例文は誹謗中傷ではなく「批判」として扱われます。
したがって、「相手の人格を否定した」場合は誹謗中傷で、「相手の人格を否定していない」場合は批判であるということが言えます。
誹謗中傷と批判の違いまとめ
この記事では、誹謗中傷と批判の違いについて具体的に説明してきました。もう一度おさらいすると、誹謗中傷と批判の違いは以下の通りです。
誹謗中傷と批判の違いまとめ
- 誹謗中傷と批判の違いは「相手の人格を否定しているかどうか」
- 誹謗中傷→「相手の人格を否定している」
- 批判→「相手の人格は否定せず、物事を判定・評価している」
相手の人格を否定した場合は、誹謗中傷になるのですが、度を超えた人格否定は名誉毀損罪と侮辱罪、そして脅迫罪など様々な罪に問われる場合もあります。
あまりにも酷い誹謗中傷をされている場合は、相手を逮捕してもらうことも出来ますし、損害賠償請求をすることも出来ます。誹謗中傷を我慢する必要はありませんので、誹謗中傷の被害に遭ってしまった場合は近くの弁護士か警察に相談するようにしましょう。