発言の程度によっては、名誉毀損罪や侮辱罪などの罪に問われる場合がある誹謗中傷。誹謗中傷は罪に当てはまる場合があるので、違法性が高ければ警察に犯人を逮捕してもらうことも出来ます。しかし、加害者を逮捕してもらうためには「時効」が過ぎる前に捜査を警察に依頼しなければいけません。
「時効が過ぎる前に警察に捜査を依頼しなければいけない」と言われても、「そもそも時効は何年なのか?」という疑問を抱えている人も多いかと思います。そのような方のために、この記事では誹謗中傷で問える可能性がある罪の時効について具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
名誉毀損罪の概要と時効について解説
誹謗中傷の程度によっては、名誉毀損罪に問われる可能性があります。ここでは、名誉毀損罪の概要や時効などについて具体的に説明していきます。
名誉毀損罪とは?
ここでは、名誉毀損罪の概要について具体的に説明していきます。
名誉毀損罪とは?
名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立する罪のこと。
簡単に説明すると、第三者が閲覧できる場所・状態で証拠を用いて判断することが出来る情報を流し、他人の社会的評価や社会的地位を違法に落とした際に成立する罪ということです。
名誉毀損罪が成立した場合、民事上の損害賠償請求をされる可能性があると同時に「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」という刑事上の責任を求められる場合があります。
名誉毀損罪の時効は3年
ここでは、名誉毀損罪の時効について具体的に説明していきます。結論から言いますと、名誉毀損罪の公訴時効は3年です。
公訴時効とは?
公訴時効とは、犯罪が終了してから定められた期間を過ぎてしまうと、被害者は起訴(訴えを起こすこと)することが出来なくなる制度のこと。一般的に言われる「時効」とは、公訴時効を指していることが多い。
公訴時効に関しては、犯罪行為が終了した時から起算されます。例えば、Aさんを誹謗中傷する投稿が2020年7月1日に投稿された場合は、公訴時効が3年後の2030年7月1日になります。
つまり、2020年7月1日誹謗中傷の投稿がされたのであれば、2030年7月1日まで起訴(訴えを起こすこと)することが出来ますが、2030年7月2日からは起訴することが出来なくなります。
侮辱罪の概要と時効について解説
誹謗中傷の程度によっては、侮辱罪に問われる可能性があります。ここでは、侮辱罪の概要や時効などについて具体的に説明していきます。
侮辱罪とは?
ここでは、侮辱罪の概要について具体的に説明していきます。
侮辱罪とは?
侮辱罪とは、事実を摘示していない場合であっても、公然と人を侮辱した際に成立する罪のこと。
簡単に説明すると、証拠を用いて判断できる情報で誹謗中傷していないとしても、第三者が閲覧できる場所・状態で人を侮辱した際に成立する罪ということです。
侮辱罪が成立した場合、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される「拘留」、1,000円以上10,000円未満の制裁金を納付する必要がある「科料」のどちらかが科される場合があります。
侮辱罪の時効は1年
ここでは、侮辱罪の時効について具体的に説明していきます。結論から言いますと、侮辱罪の公訴時効は1年です。
つまり、名誉毀損罪の時と同様に、2020年7月1日に誹謗中傷された場合は2021年7月1日までであれば起訴(訴えを起こすこと)することが出来ます。
信用毀損罪の概要と時効について解説
誹謗中傷の程度によっては、信用毀損罪に問われる可能性があります。ここでは、信用毀損罪の概要や時効などについて具体的に説明していきます。
信用毀損罪とは?
ここでは、信用毀損罪の概要について具体的に説明していきます。
信用毀損罪とは?
信用毀損罪とは、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した場合に成立する罪のこと
簡単に説明すると、嘘の情報を用いて第三者に経済的損失を負わせた際に成立する罪ということです。信用毀損罪が成立した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が処される場合があります。
信用毀損罪の時効は3年
ここでは、信用毀損罪の時効について具体的に説明していきます。結論から言いますと、信用毀損罪の公訴時効は3年です。つまり、2020年7月1日に誹謗中傷された場合は2023年7月1日までであれば起訴(訴えを起こすこと)することが出来ます。
脅迫罪の概要と時効について解説
誹謗中傷の程度によっては、脅迫罪に問われる可能性があります。ここでは、脅迫罪の概要や時効などについて具体的に説明していきます。
脅迫罪とは?
ここでは、脅迫罪の概要について具体的に説明していきます。
脅迫罪とは?
脅迫罪とは、被害者本人、又はその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加える告知をして、相手を脅した際に成立する罪
簡単に説明すると、「お前を歩けない体にしてやる」「お前の子供をボコボコにしてやる」というような告知をした際に成立する罪ということです。脅迫罪が成立した場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が処される場合があります。
脅迫罪の時効は3年
ここでは、脅迫罪の時効について具体的に説明していきます。結論から言いますと、脅迫罪の公訴時効は3年です。つまり、2020年7月1日に誹謗中傷された場合は2023年7月1日までであれば起訴(訴えを起こすこと)することが出来ますが、2023年7月2日からは起訴することが出来なくなります。
プライバシー侵害の概要と時効について解説
厳密には罪ではないのですが、誹謗中傷に該当する発言によってはプライバシー侵害が成立することもあります。ここでは、プライバシー侵害の概要や時効などについて具体的に説明していきます。
プライバシー侵害とは?
ここでは、プライバシー侵害の概要について具体的に説明していきます。
プライバシー侵害とは?
プライバシー侵害とは、私生活上の事実であり、未だ公には公開されていない情報を公開されたことで被害者が不快に思った場合に成立する。
例えば、あなたの年収や住所などをSNSやネット掲示板に書き込まれ、あなたが不快な気分になったという場合は、プライバシー侵害が成立する可能性が高いと言えます。
プライバシー侵害は罪ではないので、加害者に対して「○年以下の懲役や〇円以下の罰金」という刑罰を与えることは出来ませんが、被害者が民事裁判を起こすことで数十万円~数百万円の損害賠償請求をすることが可能です。
プライバシー侵害に時効は存在しない
ここでは、プライバシー侵害の時効について具体的に説明していきます。結論から言いますと、プライバシー侵害には時効がありません。厳密には、罪ではないので時効という概念が存在しないのです。しかし、先ほど「プライバシー侵害が成立する場合は、加害者に対して損害賠償請求をすることが出来る」と説明しました。
プライバシー侵害に時効はありませんが、損害賠償請求をすることが出来る期限は存在します。基本的にプライバシー侵害で損害賠償請求することが出来る期限は、下記2つの条件のうち、どちらか早い方が適用されます。
損害賠償請求をすることが出来る期限
- 加害者を知った時から3年以内
- プライバシー侵害に該当する誹謗中傷の投稿・書き込みをされてから20年以内
誹謗中傷で問える可能性がある罪の時効まとめ
この記事では、誹謗中傷で問える可能性がある罪の時効について具体的にまとめました。もう一度おさらいすると、誹謗中傷で問える可能性がある罪の時効は以下の通りになります。
まとめ
- 名誉毀損罪の時効は3年。
- 侮辱罪の時効は1年。
- 信用毀損罪の時効は3年。
- 脅迫罪の時効は3年。
- プライバシー侵害に時効は存在しない。
時効を過ぎてしまうといくら証拠が揃っていたとしても、起訴(訴えを起こすこと)が出来なくなってしまうので注意しましょう。