職場やインターネット上など、様々な場所で被害が多発している誹謗中傷。中には誹謗中傷が原因で病気になってしまったという人も存在します。誹謗中傷が原因で病気になってしまった人が多い中、「誹謗中傷してきた相手に損害賠償請求することは出来るのか?」という疑問を抱えている人も多いかと思います。
そのような方のために、この記事では誹謗中傷で病気になってしまった場合、相手に損害賠償請求をすることは出来るのか?ということや損害賠償請求をするための手順などについて具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
誹謗中傷で病気になった場合、相手に対して損害賠償請求することは出来るのか?
結論から言いますと、誹謗中傷をされた結果、病気になってしまったという場合は相手に対して損害賠償請求をすることが出来ます。ただし、相手に対して損害賠償請求をするためには、「誹謗中傷されたという証拠」と「病気になったという医師からの診断書」が必要になります。
証拠と診断書がない場合、損害賠償請求することが難しくなってしまうので必ず「証拠」と「診断書」を用意するようにしましょう。
誹謗中傷してきた相手に対して損害賠償請求をする方法とその手順
ここでは、誹謗中傷してきた相手に対して損害賠償請求をする方法とその手順について具体的に説明していきます。
手順1:損害賠償請求することができるか弁護士に相談する
実は、証拠と診断書が揃っていたとしても損害賠償請求することが出来ない場合もあります。そのためまずは、損害賠償請求することが出来そうかということを弁護士に相談してみましょう。
手順2:誹謗中傷してきた相手のIPアドレス・タイムスタンプ・プロバイダを特定する
次は誹謗中傷してきた相手のIPアドレス・タイムスタンプ・プロバイダの3つを特定していきましょう。
IPアドレス・タイムスタンプ・プロバイダとは?
- IPアドレスとは、パソコンやスマートフォンなど、インターネットに接続する機器に割り振られる識別番号のこと。インターネット上の住所のような役割を担っている。
- タイムスタンプとは、様々な行動の日時・日付・時刻などが記録されている文字列。
- プロバイダとは、回線をインターネットと接続する役割を担っている接続事業者のこと。KDDIやソフトバンクなど。
まずは、IPアドレスとタイムスタンプから特定していく必要があります。IPアドレスとタイムスタンプを特定するためには、「発信者情報開示仮処分命令申立」という手続きを行います。
「発信者情報開示仮処分命令申立」とは?
発信者情報開示仮処分命令申立とは、裁判所から誹謗中傷されたサービス(SNSや掲示板など)に対してIPアドレスとタイムスタンプの開示を命じてもらう手続きのこと。
「発信者情報開示仮処分命令申立」で被害者の主張が認められた場合、誹謗中傷してきた相手のIPアドレスとタイムスタンプを特定することが出来ます。IPアドレスとタイムスタンプを特定することが出来た場合、次はプロバイダ特定サービスを活用して相手が利用しているプロバイダを特定していきましょう。
様々なプロバイダ特定サービスが存在しますが、WEBLEACHでは使い方が簡単な「ドメイン/IPアドレス サーチ 【whois情報検索】」というサービスをおすすめしています。先ほど特定したIPアドレスとタイムスタンプを入力するだけで、相手のプロバイダを特定することが出来ますので活用してみてください。
手順3:相手が利用しているプロバイダに対して記録の保存依頼を行う
誹謗中傷してきた相手に対して損害賠償請求をするためには、相手の身元を特定して裁判を起こす必要があるのですが、相手を特定するために必要な情報はプロバイダに保存されています。
また、プロバイダに保存されて情報は3~6ヶ月後に自動で削除されてしまうという特徴があり、削除されてしまうと相手を特定することが難しくなるので、損害賠償請求をすることも難しくなってしまいます。
そのような事態を防ぐためにも、「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」という手続きを行い、プロバイダに対して記録の保存依頼を行いましょう。
「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」とは?
「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」とは、裁判所からプロバイダに対して相手を特定するために必要な情報の削除を禁止するように命じてもらう手続きのこと。
発信者情報消去禁止仮処分命令申立が順調に進むと、約2週間で裁判所からプロバイダに情報の削除禁止命令が出されます。
手順4:相手が利用しているプロバイダに対して控訴手続きを行う
次は、誹謗中傷してきた相手を特定するために相手が利用しているプロバイダに対して「発信者情報開示仮処分命令申立」という控訴を起こしていきましょう。
「発信者情報開示仮処分命令申立」とは?
発信者情報開示仮処分命令申立とは、裁判所からプロバイダに対して契約者情報を開示させる手続きのこと。
このような裁判に関する手続きは、弁護士に代行してもらうことも出来ます。中には「誹謗中傷してきた相手とは会いたくない」という人や「裁判に出席するのは面倒」という人もいるかと思いますので、その場合は裁判手続きを弁護士に代行してもらいましょう。
発信者情報開示仮処分命令申立という控訴を起こし、病気になってしまった被害者の主張が認められた場合、裁判所から誹謗中傷してきた相手が利用しているプロバイダに対して契約者情報の開示を求める判決が出されます。
このような判決が出されると、プロバイダから契約者情報を開示してもらうことが出来るので、誹謗中傷してきた相手を特定することが出来ます。
手順5:誹謗中傷してきた相手に対して示談交渉をする
誹謗中傷をしてきた相手を特定することが出来た場合、後は裁判を起こすだけなのですが、裁判を起こすとなると訴えた側が裁判費用を負担しなければいけません。また、裁判が終了するまで1年近くかかる場合もあります。
このように裁判を起こす場合は訴える側に負担がかかるので、その負担を軽くするために裁判を起こす前に「示談交渉」の場が設けられます。示談交渉で被害者が納得する結果になった場合は、ここで損害賠償金を受け取ることが出来ます。
手順6:示談交渉が決裂した場合は民事裁判を起こす
示談交渉で被害者が納得する結果が出なかった場合は、弁護士と共に損害賠償請求をするための裁判を起こしていく必要があります。裁判を起こすと「損害賠償請求事件」として扱われるため、病気になってしまった被害者の主張と損賠賠償請求を裁判所が認めてくれるかが争点となります。
そして、病気になってしまった被害者の主張と損害賠償請求が裁判所から認められた場合、相手から損害賠償金が支払われます。
誹謗中傷してきた相手に対して損害賠償請求をする方法とその手順まとめ
この記事では、誹謗中傷によって病気になった場合、相手に損害賠償請求をすることは出来るのか?ということや損害賠償請求をする方法とその手順について具体的にまとめました。
もう一度おさらいすると、誹謗中傷によって病気になってしまった場合、「証拠」と「診断書」があれば相手に対して損害賠償請求をすることが出来ます。そして、損害賠償請求をすること事が出来る手順は以下の通りです。
まとめ
- 損害賠償請求することができるか弁護士に相談する。
- 相手のIPアドレスとタイムスタンプを特定する。
- 相手が利用しているプロバイダを特定する。
- 相手が利用しているプロバイダに対して記録の保存依頼を行う。
- 相手が利用しているプロバイダに対して控訴手続きを行う。
- 相手と示談交渉をする。
- 弁護士と共に民事裁判を起こす。
誹謗中傷によって病気になってしまった場合は、会社から手当てが出ることもありますので、一度会社にも連絡してみましょう。