みなさん何か調べ物をする際に、GoogleやYahooなどで検索しますが、調べたい単語を打ち込んだ後にネガティブな言葉を見たことはありませんか?単語の後にネガティブなワードが表示されることを「サジェスト汚染」と言います。
よく知られていない「サジェスト汚染」ですが、実は私たちの誰もがターゲットとなる可能性があるのです。
今回は、そんなサジェスト汚染についてわかりやすく解説します。
本記事で分かること
- サジェストとは
- サジェスト汚染とは
- なぜサジェスト汚染されるのか
- サジェスト汚染での被害
- サジェスト汚染の削除方法
サジェストとは?
例えば、あなたは「〇〇ホテル」について調べたい場合、Googleの検索エンジンに「〇〇ホテル」と打ち込んでみると、ホテル名の後ろに別の単語が表示されるはずです。
- ◯◯ホテル チェックアウト
- ◯◯ホテル 部屋
- ◯◯ホテル レストラン
- ◯◯ホテル 朝食
- ◯◯ホテル 露天風呂
- ◯◯ホテル 宿泊費
ここで表示されている、〇〇ホテルの後にある「チェックアウト」や「部屋」などは多くの人が◯◯ホテルと一緒に検索しているキーワードです。検索する補助として検索エンジンがサジェスト(提案)してくれているのです。
サジェスト汚染とは?
一見とても便利なサジェストですが、先程の◯◯ホテルの後にある単語が「◯◯ホテル 汚い」や「◯◯ホテル 泊まりたくない」などネガティブなキーワードが表示されてしまうことをサジェスト汚染と言います。
ホテルを探していた人が、検索エンジンに「◯◯ホテル」と入力し、一緒に表示された言葉がネガディブなものだったらあなたはどう感じますか?いい印象を持たずにきっと他のホテルを探すのではないでしょうか。
ここがサジェスト汚染の恐ろしいところなのです。サジェスト汚染は、関連キーワードが事実ではなかったとしても検索した方は真実と捉える可能性が非常に高いためイメージの低下につながってしまいます。
サジェスト汚染の原因は?
サジェスト汚染はどのようなことがきっかけで発生してしまうのでしょうか。それは、サジェストされる仕組みを逆手にとったことが原因です。ネガティブワードが表示される原因は主に以下の2つが考えられます。
- 企業や個人にとって根拠があるキーワードを、たくさんの人が検索している
- 企業や個人にとって根拠がないキーワードを、一部のユーザーが意図的にコンテンツを作成、検索をしている
ここで指すサジェスト汚染とは、二番のことを意味しています。一部のユーザーが表示したいキーワードを意図的に掲示板に書き込んだり、大量に記事を作成するなど様々な形式でサジェスト表示を狙って攻撃して来るのです。
そもそもGoogleがサジェストを表示する基準は「そのキーワードと一緒に検索されている言葉かどうか」です。
ネガティブワードのニーズを熟知した上で汚している
「◯◯ホテル 汚い」の検索ボリュームが他のキーワードと比べて多ければ、Googleは「◯◯ホテル 汚い」という検索にニーズがあると判断し、サジェストとして表示してしまいます。
残念ながら、ネガティブワードはポジティブワードよりもクリックされやすい傾向があります。興味本位で「◯◯ホテル 汚い」をクリックしたことにより、さらにGoogleは「◯◯ホテル 汚い」がニーズがあるキーワードであると判断し、よりサジェストで表示されやすくなります。そしてそれを見た人がまたクリックをしてしまう、負の無限連鎖が生まれてしまいます。
この仕組みを悪用すると、サジェスト汚染と意図的に発生させることも可能となってしまいます。個人名や企業名に関わらず、ネガディブワードとともに掲示板などに大量に書き込み、興味を持った人が一気にネガディブワードを検索するのでサジェスト汚染はどんどん強化され上位に表示されてしまうことになります。
サジェスト汚染によって信用が著しく低下する
サジェスト汚染がどのように引き起こされるかはご理解いただけたかと思います。ではサジェスト汚染の被害を受けることでどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?
企業であれば、「〇〇レストラン ゴキブリ」「〇〇スーパー 産地偽装」などネガティブなきワードが表示されればイメージダウンになりますし、信用の損失や経営に影響を及ぼすかもしれません。
個人に対してのサジェスト汚染で真っ先に考えられるのが、政治家や芸能人、スポーツ選手の著名人ですが、実は私たちの誰もが被害を受ける可能性があることを覚えておいてください。最近では、会社名や個人名を入力した時に身に覚えのないネガティブワード(セクハラ、前科など)が表示されるケースが発生しています。
そのことが原因で、実際に訴訟を起こした事例があります。
サジェスト汚染が原因となった裁判例
検索サイト「Google」利用者の男性が、自身の名前をGoogleで検索すると身に覚えのない犯罪行為が表示されるとして、アメリカのGoogle社に表示をやめるように求めて提起した訴訟で、2013年4月15日、東京地方裁判所において判決が言い渡されました。
東京地裁は「無関係の単語を閲覧しやすい状況を放置し、男性の社会的評価を低下させた」として名誉毀損やプライバシー侵害に当たると認定。Googleに対して表示の停止と慰謝料30万円の支払いを命じた。
引用元:日経 xTECH
個人名に犯罪を連想させる単語を表示させていたとして、東京地裁よりGoogleに対して差し止め命令が出されましたがGoogle側は検索ユーザーの動向の自動収集結果を表示しているだけに過ぎないと反論を行っています。
アメリカ・インターネット検索サイト大手のGoogleに対して、過去の逮捕歴に関する情報表示を削除するよう求めた仮処分申請で、日本の最高裁判所が削除は認めないという決定を下しました。
検索サイト側の「表現の自由」と表示される側のプライバシー保護を天秤にかけ、表現の自由の方が優先すると判断した結果となりました。
引用元:日本経済新聞
その後の2017年1月31日に最高裁は、検索エンジンの「公共性」を認める判決を出しており、サジェスト削除を裁判で争うのは非常に難しくなっています。
この事例からわかるように、サジェスト汚染の一番恐ろしいところは、検索エンジンで何も知らないユーザーが企業・個人について検索した際に、汚染されたサジェストを見るとそれが真実だと勘違いしてしまうところです。
サジェスト汚染の被害にあったらどうする?
ネガティブなイメージを植え付けられてしまうサジェスト汚染。一刻も早く表示をされないようにしたいですよね。では、どのようにしたら表示されなくなるのでしょうか。ここからはサジェスト汚染が削除ができるのかについて説明していきます。
サジェスト汚染に効果的な5つの対策方法
- Googleサジェスト削除申請フォームを利用する
- Yahoo!検索 関連検索ワードに関する情報提供フォームから削除を依頼する
- コンテンツ作成者に削除を依頼する
- 弁護士に依頼する
- 専門業者に依頼する
サジェスト汚染に効果的な対策がこちらです。
Googleサジェスト削除申請フォームを利用する
これはGoogleでのサジェスト汚染のみ対応している方法ですが、Googleサジェスト削除申請フォームから自身で削除依頼をすることができます。
削除してもらう判断基準としては、オートコンプリートポリシーに違反しているサジェストであることが条件です。オートコンプリートポリシーとは、Googleが定めた不適切な検索候補に関する規定で、具体的には以下のような内容が削除対象となります。
- 暴力的または残虐的な内容のサジェスト
- 性的表現、下品な表現内容を含むサジェスト
- 特定の集団に対して差別的な内容のサジェスト
- 著名人に対する不適切かつ抽象的なサジェスト
- 危険なサジェスト
申請を行いその後、該当しているか否かGoogle側が精査を行います。削除申請を行いたい場合はまず上記に該当するのか確認してみましょう。
Yahoo!サジェストの削除依頼方法
Yahoo!のサジェストに表示された汚染ワードの削除申請は、Yahoo!公式サイトにある「Yahoo!検索 関連検索ワードに関する情報提供フォーム」から行うことができます。
- 画面に表示されている内容に沿って入力、確認事項をチェック
- 関連検索ワードの情報提供を選択
- 検索結果ページのURLの欄に検索結果のアドレスバーに表示されるURLを入力
- 関連検索ワードの欄にサジェストに表示されている汚染ワードを入力
- 詳細欄に削除希望の理由を明記、該当のワードがどのような法律に違反しているかを分かりやすく書く
- 記入漏れがないか確認し、送信
Yahoo!に削除申請を行っても、削除可否についてYahoo!側から申請者に連絡が来ることはありません。削除可能と判断された場合は最短で1日〜1週間程度で対応してもらえます。
コンテンツ作成者に削除を依頼する
サジェスト汚染が発生する理由として、ネガティブな情報が書かれウェブサイトや掲示板が存在していることが考えられます。そういった情報をみた人がネガティブなキーワードで検索してしまうと、またサジェストにネガティブワードが表示される可能性があります。
せっかく削除を行ってもらったのが水の泡となってしまいますので、情報の出どころを改善しなければ根本的な解決にはなりません。
そこでぜひ実施していただきたいのが、ネガティブな情報を掲載しているウェブサイトの管理者に直接連絡し、記事やコンテンツの削除依頼を行うことです。
いきなり直接連絡することは緊張してしまいますが、最も効果がある方法だといえます。
ウェブサイト管理者に連絡する方法はメールや電話などありますが、ほとんどのウェブサイトにはお問い合わせフォームが設置しているので、そこから連絡する方法が一番得策だといえます。
弁護士に依頼する
上記に記した方法でも対応が難しい場合は、弁護士へ相談することを検討するといいでしょう。自分自身で対応することが不安な方でも弁護士へ相談することで確実に削除対応を行ってもらえるので安心です。
しかし、弁護士にも専門分野がありますのでインターネットでの誹謗中傷・トラブルに詳しい弁護士に依頼する必要があります。
インターネットでの問題は、プロバイダ責任制限法や迷惑メール防止法、サーバやドメイン、などインターネットについての知識が求められますので、ネットに強い弁護士であることをしっかり確認して依頼を行ってください。
専門業者に依頼する
GoogleやYahoo!への削除依頼、弁護士への相談を行っても場合によっては削除できないこともあるかもしれません。そのような時にぜひ利用していただきたのが、インターネット誹謗中傷・削除などを専門としている業者です。
なぜサジェスト汚染されたのか、原因は何かを分析した上でどのように対策を行った方がいいか提案をしてくれるので、より根本的な解決を目指すことができます。
サジェスト汚染だけではなく下記のような場合も相談に応じてくれますので、サジェスト汚染と合わせて相談することも良いかもしれません。
- 匿名の掲示板で企業情報や個人情報が書かれている
- 根拠のない悪い評判が書かれ風評被害を受けている
- 口コミサイトに身に覚えのないネガティブな書き込みがある
- SNSやブログに誹謗中傷の内容が書かれている
まとめ
サジェスト汚染とは何か。サジェスト汚染の被害を受けた場合の対策について解説しました。簡単にポイントをまとめておきます。
本記事のポイント
- サジェスト汚染とは検索窓にネガティブなキーワードが表示されること
- サジェスト汚染しているとイメージの低下につながる
- サジェスト汚染は負のループになりやすい
- サジェスト汚染を削除してもらうことは可能
- サジェストを一度削除しても根本のコンテンツが無くならない限り再度汚染する可能性も
- 個人の力ではなくプロフェッショナルを頼る方が得策
今回はサジェスト汚染とは何かからサジェスト汚染の被害を受けた場合の対策について解説しました。サジェスト汚染は放置してしまうと、どんどんネガティブイメージが強化されてしまう厄介なトラブルです。
自分自身でも手続きを行うことは可能ですが、インターネットの知識や法律の知識が必要となってくるので、まずは気軽に弊社など専門業者へお問い合わせください。