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相次ぐ企業広告の炎上!事例から考える企業広告の在り方と課題

2021年4月13日

SNSや掲示板など、さまざまな投稿が原因で炎上するケースが増えています。企業広告も同様に炎上したとネットニュースなどで取り上げられる頻度も増え、近年注目を集めるようになりました。

最近はジェンダーに関する企業広告が相次いでバッシングを受けており、企業側は今後どのようなことに注意しながら広告を打ち出すべきなのか悩んでいることでしょう。その一方で、表現の仕方を工夫することで高い評価を得ている企業広告があるのも事実です。

そこで今回は、企業広告の失敗例と成功例の2つを紹介しながら、企業に求められる今後の課題についてお伝えします。

本記事で分かること

  • ジェンダーにまつわる企業広告が炎上する原因とは
  • 企業広告の成功事例と失敗事例の差は何か
  • 世界はジェンダー表現に対してどのように動き出しているのか

企業広告だけでなく、SNSや掲示板への投稿がきっかけで炎上する事例は後を絶ちません。以下の関連記事も、ぜひ参考にしてみてください。

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ジェンダーにまつわる企業広告はなぜ炎上しやすいのか

企業広告が炎上するニュースを目にする機会が最近増えてきました。「炎上」という言葉を見聞きする回数が増えると最近始まったものだと感じる人もいるかもしれませんが、実は今に始まったことではないのです。

約40年以上前から、ジェンダーにまつわる表現について問題視する声は存在していたといわれています。企業広告が炎上した事例を紹介する前に、なぜジェンダーにまつわる企業広告を世に出すと炎上しやすい時代になったのか、その原因を見ていきましょう。

世代間の認識の違いが炎上増加の引き金に

若い世代は家事をひとつこなすにしても、男性と女性どちらがやっても違和感なくスムーズに受け入れる価値観を持つ人が多いようです。その一方で、中高年以降の世代はというと、昔ながらの男女の在り方が当たり前と考える人が多い傾向にあります。

世代間のジェンダーに対する認識の違いは日常で数多く見受けられるものではあるものの、ネットニュースなどで大きく取り上げられる機会は少ないのが現実です。ただし企業がジェンダーにまつわる広告を掲載するとなれば話は全く違ってくることに注意しましょう。

一般的には、ジェンダーに関する問題はデリケートであることから「炎上しやすい」といわれています。

メイクや脱毛は性別に関係なくする時代へ

「女性は家事や育児をして、男性は仕事をするのが当たり前」。長年に渡って多くの人に刷り込まれた固定観念は、年齢層が上がるにつれてより強くなります。

もっと掘り下げて、メイクや脱毛といった美容に関する分野はどうでしょうか。これらを企業広告にすることで、見る人に対して「美容ケアは女性しかしないもの」「女性はこうあるべき」といった偏った考えを押し付けてしまう可能性は高くなりやすいといえます。

今やメイクや脱毛は女性だけでなく、男性もする時代になっていることも考えて企業側は広告内容を考えなければいけません。

そのため、企業が広告掲載前にきちんとリサーチせずにジェンダーに関する広告を打ち出してしまうと世代間に大きなギャップが生じてしまい、結果的に炎上しやすくなってしまうわけです。

たまたま取り上げられなかっただけという可能性も

以前からジェンダーに関する広告に違和感を覚える声はあったものの、その声は現代ほど大きく取り上げられることはありませんでした。もしかしたら、数十年も前であれば今のように情報社会ではなかったでしょうから、たまたま問題視する人の目に触れていなかっただけかもしれません。

過去と現代、どちらの企業広告にもいえることそれは、「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」といった固定観念が広告内にメッセージとして見る人に伝わるような内容になっているケースが多いということです。

広告を見る人が違和感なく素直に受け入れられないような広告を企業が掲載してしまうと、炎上するリスクは高まると思っていいでしょう。

つまり、以前からジェンダーに関する企業広告の表現に関しては炎上要素を含んでいたものの、たまたま声を上げる人の目に触れていなかっただけということも十分考えられるわけです。

企業広告の事例から表現の仕方を学ぶ


これまで多くの企業広告が世に出されてきました。最近はインターネットの普及により、それまでメインとして広告掲載されていた紙媒体やCMにプラスして、Web広告を軸に広告を掲載する企業が増えてきています。

ここからは、企業広告で失敗した事例と成功した事例をそれぞれ見ていきましょう。どちらも、ジェンダーにまつわる内容を取り入れた企業広告の事例に絞ってお伝えします。

また、ジェンダーを広告で表現することは、非常にデリケートではあるといわれています。ただし表現の仕方によってはジェンダーに関する企業広告が評価されることもあるようです。その点も踏まえた上でいくつか事例を見ていきましょう。

失敗事例(1)西武・そごう

2019年1月1日、大手百貨店である西武・そごうが広告を掲載するとキャッチコピーへの違和感や見た目への不快感から批判が殺到しました。キャッチコピーは「女の時代、なんていらない?」。

女性がいくつものクリームパイをぶつけられ、クリームが垂れたままの広告・映像広告でした。クリームパイをぶつけられた女性のモデルになっているのは女優の安藤サクラさんです。

クリームパイを前年に起きた社会問題に例え、女性の息苦しさなどを表現したとされています。企業側は炎上したことで広告を取り下げることはしていません。また不快感があることは認めたものの、広告の意図としては女性を応援するものだったとしています。

失敗事例(2)ロフト

2019年1月、ロフトがバレンタイン広告を掲載するも開始からわずか数日で掲載停止・広告の削除という結果となりました。広告に登場するのは、楽しそうな表情を浮かべる金髪の5人の女性。

メインメッセージは「女の子って、楽しい!」なのですが、広告動画では女性同士の表裏を使い分けたやり取りが描かれています。広告で受けた印象と動画の内容があまりにも異なることから、「この広告の意図が分からない」などといった批判が殺到。現在は広告動画は削除されています。

失敗事例(3)洋服の青山

2020年6月、紳士服販売大手の洋服の青山は、自社のTwitter公式アカウントを使用して「透けハラ対策 Twitterキャンペーン」を実施しました。「透けハラ」という言葉自体は存在するものの、洋服の青山が独自で作った言葉ではありません。

洋服の青山は、「透けハラ」という問題を解決する商品の販売を推進するためにキャンペーンを実施したことが後に分かったわけですが、残念ながらキャンペーン実施中にその意図が消費者に伝えることができずにキャンペーンは終了しています。

それを知らないネット上のユーザーからは、「マーケティングのために自社で造語を作り商品購入に誘導しようとしているのではないか」といった批判が殺到。批判を受けた洋服の青山は、キャンペーン内容を掲載したツイートを削除した上で謝罪しています。

成功事例:ルミネ

2020年11月、ファッションビルを運営するルミネが広告を掲載するとネット上から広告内容に共感する声が次々と届きました。こちらが、実際にルミネが公式Twitterでツイートした内容となります。

「ほめよう。わたしたちを。」というキャッチコピーが広告を見る人の目を惹きます。

出典:ルミネ公式Twitterアカウント

2020年は新型コロナウィルスの流行により、生活が大きく変化した1年でした。

この広告を見て生活スタイルの変化に順応しようと努力しながらも、日々の生活の中でちょっとした楽しみを見つけながら過ごした思い出を振り返る人も多かったのかもしれませんね。

企業が広告掲載する上での今後の課題とは

企業がジェンダーにまつわる広告を掲載する場合は、炎上するリスクを視野に入れながら慎重に広告内容を検討する必要があります。先ほど紹介した事例からも分かるように、時に企業側が想定していない部分で炎上してしまう可能性は十分あるわけです。

炎上のリスクに備えながら、ジェンダーにまつわる広告掲載に取り組むにはどのような課題に目を向けるべきなのかをここからは紹介していきます。

固定観念が潜んでいないか確認する

人の数だけ価値観や考え方が存在することをまずは念頭に置いておきましょう。その上で広告を企画し形にすることが大切です。先ほど紹介したように、世代によって固定観念に対する意識は違う点にも細心の注意を払うことを忘れてはいけません。

また、広告を打ち出す企業や作り手が広告に対して満足するだけでは、残念ながら炎上リスクを拭い取ることはできないと思ってください。広告を見る側のことをきちんと調査し、内容に誤解が生じないかを十分に検討した上で企業は広告掲載に踏み切ることが大切です。

「そんなにも慎重になる必要があるのか」と疑問を抱く人もいるかもしれませんが、それくらいの慎重さが企業広告の掲載には求められます。ただし、企業自体がジェンダーに関する広告を掲載することで炎上するかしないかのボーダーラインを見極めることは極めて難しいといえるでしょう。

メッセージ性のある広告を掲載するのもひとつの手

企業広告を掲載する企業というのは、一般的に大手企業が過半数を占めます。そのため、大手企業であることをうまく活用して広告を見る人に何かメッセージを伝えられるような広告を掲載するのもひとつの手です。これが成功すれば、企業のブランディングという面で大きな伸びが期待できます。

特にジェンダーにまつわる広告を掲載する場合は、思い切ってやり方を変えてみることをおすすめします。

日本企業は広告を見る人に対して共感を求める広告を打ち出すことが多い傾向にありますが、この場合は多くの人の価値観や考え方に受け入れてもらわなければいけないため大変難易度が高いといえるでしょう。

先ほど紹介したルミネのような広告がこれから増えれば、また日本社会は大きく前進できるかもしれません。その一方で、現実ではジェンダーにまつわる広告を掲載しても、高い評価を得られる企業は残念ながら一握りであることを知っておきましょう。

「ジェンダーあるある」をテーマにするよりも、何か社会を変えるきっかけになるようなメッセージ性のある広告を打ち出したほうが見る人の心に大きく問いかけることができます。

海外企業の場合、こちらの方法で広告を打ち出す企業が多いといわれています。日本社会をより良いものにするためには、企業広告を打ち出すことが多い大手企業の力が必要だといえるでしょう。

企業広告が炎上するリスクを回避するためにも、これから広告を打ち出す予定がある企業はやり方を変えてみるといいかもしれません。

世界もジェンダーにまつわる広告に対して動き出している

世界各国でも、ジェンダーにまつわる広告に対してさまざまな動きが見られます。

2019年にはイギリスの広告基準協議会(ASA)と広告実践委員会(CAP)は、「深刻もしくは広範な被害を生む可能性がある有害なステレオタイプを使った広告」が禁止となりました。

今後、日本がどのようにジェンダーにまるわる広告に対して変わっていくのかを企業、そして広告を目にする消費者全員が気になる部分だといえるでしょう。

まとめ・企業広告を掲載する場合は冷静な視点が大切

今回は、ジェンダーにまつわる企業広告の事例と今後の企業の課題について紹介しました。記事のポイントを以下にまとめましたので確認してみてください。

本記事のポイント

  • 企画段階から、世代間のジェンダーに対する捉え方の違いや違和感を覚える表現が見受けられないかを調査することが大切。
  • 広告を見る人と価値観や考え方を共有するのは難しいことである

ジェンダーにまつわる広告を掲載する際は、企業側や制作者の視点だけで制作を進めてしまうと炎上する可能性が高くなります。広告制作を始める企画段階で、さまざまな価値観や考え方を持つ人達に違和感・不快感を与えないかどうか冷静になることが大切です。

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