ネット上では様々なトラブルが起こり得ます。
- 根拠がない嘘やデマを書かれた
- プライベートな写真を勝手に載せられた
このような被害にあったら、いち早く対応をすることをおすすめします。取れる方法はいくつかありますが、最終的に裁判で決着をつける必要がある場合も出てくるでしょう。そこで、この記事ではネット上の誹謗中傷への対応方法や裁判の際の費用などについて解説します。
本記事で分かること
- ネット上で誹謗中傷を受けた場合の相談窓口は?
- ネット上の誹謗中傷が原因の裁判費用はどれくらい?
- ネット上の誹謗中傷が原因の裁判費用はどちらが払う?
- ネット上の誹謗中傷で慰謝料請求できる場合の相場は?
自分自身はもちろん、家族や友人がネット上の誹謗中傷被害に遭って困っているという方などに、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
もくじ
ネット上で誹謗中傷を受けた場合の対応には種類がある
ネット上で誹謗中傷を受けた場合、取れる対応にはいくつか種類があります。ここでは3パターンの方法について解説します。
警察のサイバー犯罪相談窓口
ネット上の誹謗中傷被害などは、警察のサイバー犯罪相談窓口で相談することができます。他の方法と比較したときのメリットは費用がかからない点です。なお、法人の場合は警察に相談しても対応してもらえません。
しかし、警察には事件性がないと思うように対応してもらえないというデメリットもあります。実際に誹謗中傷を受けただけでは事件性としては弱く、実質的な被害を証明するのは難しい場合が多いです。明確な被害を受けている場合に、警察のサイバー犯罪相談窓口はおすすめです。
風評被害専門サービス
誹謗中傷などの風評被害対策を専門的に行う会社もあります。風評被害の原因や対策についてしっかりと分析し、起こったことに対して対応するとともに、今後同じ風評被害が起こらないような対策を立てるなど、ネット被害について総合的なコンサルティングをしてくれる専門サービスです。
風評被害専門サービスは、他の方法と比較すると費用面が高いというデメリットがあります。そのため個人の対策に向いているとは言えず、主に法人を相手に展開されているサービスです。
ネット被害専門弁護士
ネット被害に詳しい弁護士に対応を依頼するという方法もあります。弁護士に依頼することで、誹謗中傷記事や口コミを代理削除申請してもらうことができます。また、誹謗中傷口コミなどによって大きな損害を被っている場合は、弁護士を通して訴訟を起こすこともできます。
個人で弁護士に依頼をするのは費用面が高いというデメリットがあるものの、着手金以外は成功報酬で請け負ってくれたり、相手側に弁護士費用を請求できる場合もあるため、大きな被害を受けている場合は弁護士に依頼することも視野に入れましょう。
ネット上の誹謗中傷が原因の訴訟・裁判費用はどれくらいかかる?
ネット上での誹謗中傷により著しく損害を被った場合や、悪質な記事の書き込みや削除に同意してもらえない場合には、弁護士に依頼して訴訟を起こす場合もあります。
裁判費用と弁護士費用との違いに注意
ここでポイントとなるのは、裁判費用と弁護士費用との違いです。裁判費用とは、訴訟を起こすにあたり必要になる費用のことで、弁護士費用は弁護士に訴訟に必要になる対応を依頼する場合に必要な費用です。弁護士を通して裁判を行う場合には、裁判費用と弁護士費用が別で必要になります。少額の訴訟では、弁護士を依頼しない場合もあります。
弁護士費用の相場
弁護士に依頼する場合、該当する誹謗中傷口コミの削除請求申し立て、誹謗中傷書き込みをした発信者の情報開示請求申し立て、さらにその発信者に対する損害賠償請求申し立ての3つが考えられます。それぞれの弁護士費用は、概ね以下の通りです。
誹謗中傷口コミの削除依頼
- 着手金:5〜10万円程度
- 報酬金:5〜10万円程度
- 別途裁判費用
発信者情報開示請求
- 着手金:20~30万円程度
- 報酬金:15~20万円程度
- 別途裁判費用
損害賠償請求
- 着手金:20万円程度
- 報酬金:慰謝料の約16%
- 別途裁判費用
それぞれの案件で、着手金に加えて成功した場合の成功報酬が発生します。損害賠償請求の報酬金は、どの事務所でも16%に規定されていることが多いです。
また、発信者を特定する方法については次の記事でも詳しく解説しています。
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裁判費用は数万円程度
上記で解説した裁判ごとに、裁判費用がかかります。必裁判所に支払う裁判のための手数料としての印紙代などが必要で、数万円程度で済ませられます。
ネット誹謗中傷の裁判費用はどちらが負担する?
ネット上で誹謗中傷を受けた場合の裁判費用は、誹謗中傷により被害を受けて訴訟を起こした側とネット上に誹謗中傷を書き込んだ側のどちらが負担することになるのでしょうか。
誹謗中傷の裁判費用は負けた側が負担する
ネット上の誹謗中傷による裁判費用は、裁判に負けた側が負担するのが一般的です。これはネット上の誹謗中傷に限らず、どの訴訟でも同じです。
注意したいのは、敗訴側の支払いが要求されるのは裁判費用であって、弁護士費用ではないということです。
弁護士費用は基本的に自分で払う
裁判で勝訴しても、弁護士費用を相手に支払ってもらうことは基本的には認められていません。勝訴したことで得られる慰謝料などの中から、弁護士事務所で規定されている着手金や報酬を支払う必要があります。なお、弁護士事務所によってはこうした弁護士費用を立て替えてくれる制度が運用されている場合もあります。
ネット誹謗中傷の裁判・慰謝料の相場は?
ネット上での誹謗中傷において裁判を起こす場合、慰謝料の相場はどの程度なのでしょうか?誹謗中傷と言っても様々な場合がありますが、それぞれの慰謝料の目安について解説します。
名誉棄損の場合
誹謗中傷をされた場合、名誉毀損が成立することがあります。名誉毀損とは、ネット上において被害者の社会的な評価を落とすような行動全般のことを指します。名誉毀損が認められると、10〜50万円程度の慰謝料が成立します。
侮辱の場合
誹謗中傷をされた場合、その行為が侮辱行為にあたることがあります。相手がその行為によってプライドを傷つけられたと感じた場合、名誉感情の侵害と認められるからです。侮辱が認められると、10〜50万円程の慰謝料が成立します。
プライバシー侵害の場合
誹謗中傷行為が、プライバシーの侵害にあたる場合もあります。プライバシーの侵害とは、本人に許可を取ることなくプライベートな情報や個人情報を公開する行動のことを指します。プライバシーの侵害が認められると、10〜50万円程度の慰謝料が成立しますが、悪質な場合は100万円以上が認められることもあります。
慰謝料についてはぜひ次の記事も参考にしてみてくださいね。
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誹謗中傷をされた場合に請求できる慰謝料の相場と弁護士費用の相場を徹底解説
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まとめ・ネット誹謗中傷はいち早く相談を!
ネット上の誹謗中傷への対応方法や裁判になった場合の費用などについて解説しました。簡単にポイントをまとめます。
ネット誹謗中傷の対応方法や裁判費用・まとめ!
- ネット上の誹謗中傷は、警察・風評被害対策の専門サービス・ネット被害に詳しい弁護士などにに相談を
- 裁判では裁判費用とは別に弁護士費用がかかる。弁護士費用は着手金と報酬が発生するが、裁判費用自体は数万円程度
- ネット誹謗中傷により裁判が行われる場合、裁判費用は敗訴側の負担が認められることが多いが、弁護士費用までは認められないことがほとんど
- ネット誹謗中傷の慰謝料は、10〜50万円程度で成立することが多いが、悪質な場合は100万円を超えることも
ネット誹謗中傷に遭った時、相談先も対応ステップも様々あります。時間が経ってしまってからは手遅れになる場合もあります。まずはいち早く相談することをおすすめします。