誰もが思ったことをインターネット上に書き込めるネット社会。便利なことも多いのですが、誹謗中傷の標的になってしまうと一気にネット社会の悪い部分が見えてきます。近年はSNSを中心とした誹謗中傷の書き込みが増加し、事件に発展するケースも増えてきました。
書き込みをした犯人を特定することはできますが、現在の法律では多くの時間と手間がかってしまいます。今回は、悪質な書き込みをした犯人の特定方法や標的になったときの対処法についてお伝えします。
本記事で分かること
- 悪質な書き込みが減らない理由にはどのようなものがあるのか
- 悪質な書き込みをした犯人を特定する方法とは
- 悪質な書き込みをされた時はどのように対処するのが適切なのか
以下の記事は、悪質な書き込みをした犯人を特定する方法を知りたいと考える人に役立つものです。是非、参考にしてみてください。
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サイトやSNSへの誹謗中傷がトラブルや事件に発展するケースが増えている
現代は若者から高齢者まで、幅広い年齢層の人がインターネットを利用する時代となりました。短時間で情報を検索したり発信したりすることが簡単にできるからこそ、常に隣り合わせになっている問題のひとつに「誹謗中傷問題」があります。
「気持ち悪い」などの中傷が散見するネット社会
「○○ 気持ち悪い」「○○ 消えればいいのに」といったインターネット上の悪質な書き込みは、そのまま放置しているとトラブルや事件に発展する可能性も十分あるわけです。事例件数が増える一方で、国や自治体も誹謗中傷対策に向けて動き始めています。
事例紹介
一般人はもちろん、芸能人や有名人も今や誹謗中傷の標的にされてしまう時代です。実際に起きてしまった事例を2つ紹介します。
叶姉妹がファンから誹謗中傷の書き込みをされた
タレントの叶姉妹のファンに向けて、Twitter上で2人のユーザーが叶姉妹の容姿に関して誹謗中傷のコメントをしたことが問題になりました。2021年3月11日叶姉妹はブログで、顧問弁護士へ報告すると共に法的措置も検討していると伝えています。
元プロレスラー木村花さんが誹謗中傷の書き込みをされ亡くなった
元プロレスラーの木村花さんは、男女3人が一軒家でシェアハウスするリアリティバラエティ番組「テラスハウス」に2019年10月末から出演。誹謗中傷の標的になったきっかけは、2020年3月末に配信された内容でした。木村花さんが共演者に感情的になった場面が配信されてから、彼女に向けたSNSを中心に誹謗中傷のコメントが殺到。その後、木村花さんは亡くなりました。
国や自治体もネット社会の誹謗中傷対策に向けて動き出している
インターネットの普及と共に増え続ける誹謗中傷に関するトラブルや事件。国や自治体もネット社会の誹謗中傷対策に向けて少しずつ動き出しています。
プロバイダ責任制限法の改正案が閣議決定される
2021年2月26日にプロバイダ責任制限法の改正案が閣議決定されました。これにより、誹謗中傷の書き込みをした犯人の特定にかかる時間が大幅に削減され、裁判までの手続きがスムーズになる日も近くなりました。
群馬県で誹謗中傷被害者支援の条例の可決・施行される
2020年12月15日、「県インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷等の被害者支援等に関する条例」が群馬県議会第3回後期定例会の本会議で可決されました。誹謗中傷に関する自治体独自の条例の施行は、群馬県が初めてとなります。
誹謗中傷の被害者に対して、無料相談窓口を開設し弁護士による法的な助言を受けることが可能です。またインターネットの使い方に関するネットリテラシーの向上にも講演会や児童向けの学ぶ機会を設けるなどして、積極的に取り組んでいます。
悪質な書き込みが減らない理由
インターネット上では誰もが思ったことをコメントや記事にして投稿できます。対面では言えないことでも、インターネット上の掲示板やSNSを活用すれば簡単に発言できてしまう。
これが、悪質な書き込みをする人の心を大きく揺さぶります。思ったことを後先考えずに書き込んでしまうため、誹謗中傷のトラブルや事件に発展してしまうわけです。なぜ、悪質な書き込みが減らないのか具体的な理由を見ていきましょう。
「特定されることはないだろう」という安心感
インターネットの掲示板やSNSに書き込む際は、本名を名乗る必要がありません。「匿名だから」と軽い気持ちで書き込んでいると、いつしか標的にする人を決めて悪質な書き込みをしてしまう人が増えてしまうわけです。
後程紹介しますが、悪質な書き込みをした犯人を特定することはできます。
また「特定されることはないだろう」という安心感は、自分が悪質な書き込みをすることで標的となる人に不愉快な思いをさせて単にストレスを発散したいだけであることも考えられます。
掲示板やSNSに悪質な書き込みをする人は、他にストレスの吐口がないというパターンが多いのかもしれません。
対処せずに放置することで起こり得るリスク
悪質な書き込みがあることに気付いているのにもかかわらず、特に対処することなくそのままにすることは避けましょう。「大して問題にならないだろう」と甘く見ていると、大きな問題に発展するかもしれません。放置することで起こり得るリスクには以下のものがあります。
- 誹謗中傷の書き込みが拡散する
- サジェスト汚染される可能性がある
掲示板やSNSの拡散力を甘く見てはいけません。たった1度の書き込みが瞬く間に拡散するのは時間の問題です。
また検索がスムーズになるようにユーザーをアシストする機能「サジェスト」が汚染されると、「○○ 汚い」「○○ マズイ」などといったマイナスのイメージを持たれやすいワードで埋め尽くされてしまいます。
そうなれば個人の場合は仕事に大きな影響が出たり、企業の場合は業績悪化につながったりと多大な損害が出る可能性もあることを知っておきましょう。さまざまなリスクに備えるためにも、悪質な書き込みを発見した場合はできるだけ早く対処することをおすすめします。
悪質な書き込みをした犯人を特定する方法
悪質な書き込みをした犯人を特定することは可能です。ただし現在の法律の場合、特定するまでに1年以上かかることもあります。悪質な書き込みに対して対処できない期間が長くなれば、問題が深刻化することも十分あるでしょう。ここからは、犯人特定までの流れをご紹介します。
現状の特定方法は手続きが長期化
2021年4月現在、悪質な書き込みをした犯人を特定する手続きは長いもので1年以上かかることもあります。3か月~6か月で書き込みの投稿記録は消えてしまうため、書き込みを見つけたら早めに動くことが大切です。
IPアドレス開示請求を行い、プロバイダ宛ての開示請求、発信者を特定するといった流れとなります。
ただしこれは全てスムーズにいった場合のものです。それぞれの請求に応じない場合は裁判所による仮処分の手続きを行ったり、プロバイダ宛ての訴訟を実施したりと弁護士を通して進める必要があります。
簡素化されれば1ステップで犯人を特定できる
先ほど紹介した流れが現在の犯人の特定までの流れなのですが、手続きが簡略化されれば1回手続きするだけで裁判所が情報の開示を判断できるようになります。プロバイダ責任制限法が閣議決定されたことから、簡略化に対する期待も高まっていることでしょう。
標的にされた場合に自分でできる対処法
誰もが悪質な書き込みの標的になる可能性がある時代です。そのため日ごろから、自分が標的にされた場合にできる対処法を把握しておく必要があります。ここでは、誹謗中傷の標的にされた場合に自分でできる有効的な対処法を紹介します。
削除依頼する
悪質な書き込みが掲載してあるサイトの管理者やSNSのユーザーに対して、削除依頼しましょう。掲示板やブログなどのサイトの場合は、削除依頼フォームから手続きを進めるのが一般的です。SNSの場合はユーザーへ直接メッセージを送ることになります。
削除依頼する際は、削除して欲しい部分・削除して欲しい理由・該当する内容が投稿された日時などを記載しましょう。詳細を記載することで、削除依頼を受け取った相手が情報を把握しやすくなります。
自分で情報を発信する
ホームページやブログを開設して、あなた自身がどのような人物なのか情報を積極的に発信していくのもひとつの手です。可能であればインターネット上で影響力が大きくなっているSNSでアカウントを作成し、自分の考えなどを継続的に投稿するといいでしょう。
業者や弁護士に相談する
「自分で対処しても悪質な書き込みが消えない」と感じたら、早い段階で誹謗中傷対策を専門とする業者や弁護士に相談しましょう。それぞれ、どのような場合に相談すればいいのか解説します。
誹謗中傷対策の専門業者へ相談する
削除依頼しても削除してもらえない場合は、誹謗中傷対策の専門業者へ相談してみましょう。逆SEO対策の他にも、それぞれの業者が経験や実績から培ってきたノウハウを活用した施策を提案してもらえます。悪質な書き込みを削除することはできませんが、表示されにくいような対応策を考え実施してもらうことが可能です。
弊社でも、誹謗中傷対策に関する相談を無料で受け付けております。経験豊富なコンサルタントが問題解決に向けて、適切なプランを提案可能です。お気軽にご相談ください。
弁護士へ相談する
悪質な書き込みに対して、法的に解決したい場合は弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士と一口でいっても、弁護士によって得意な分野はことなるため弁護士選びは慎重に行ったほうがいいでしょう。実績を見ながらインターネット分野に詳しかったり、実績が豊富だったりする弁護士に依頼するとスムーズに対応してもらえます。
まとめ・犯人特定に向けて早めに動くことが大切
今回は、悪質な書き込みをした犯人を特定する方法や対処法についてお伝えしました。ポイントを以下にまとめておきますので確認してみてください。
本記事のポイント
・犯人特定の簡略化に向けて、政府がプロバイダ責任制限法の改正案を閣議決定するなど体制が変わりつつある
・悪質な書き込みの削除依頼は詳細を記載することが大切
・個人での対処に限界を感じる前に、誹謗中傷対策を専門とする業者や弁護士へ相談する
悪質な書き込みを放置していると、さまざまなリスクが生まれることが考えられます。少しでも被害が拡大しないようにするためにも、投稿に気付いたらできるだけ早く動くように心がけましょう。