今やSNSを利用していない人のほうが珍しい現代。小学生がスマートフォンを持っていることが不思議ではなくなりつつあります。彼らがSNSを利用し、コミュニケーションを取ることに何の抵抗もないでしょう。
しかし、便利なものには悪用される可能性が含まれていることを忘れてはいけません。学生の間でSNSの誹謗中傷に使われていることも事実。インターネットのやり取りは、親や学校の先生が把握しにくいこともあり、見えないところで誹謗中傷に苦しんでいる生徒に気づいてあげることが難しくなってしまいます。特に学校の裏サイトは注意が必要です。匿名性が高く、顔が見えないやりとりのため、誹謗中傷が書き込まれやすい特徴があります。
そこで今回の記事では、学校の裏サイトやSNSを使った誹謗中傷への対策や、生徒の気持ちを楽にする相談先について解説します。一人でも多くの生徒を誹謗中傷から救い、気持ちのいい学校生活に導いてあげましょう。
もくじ
学校の裏サイトとは?
学校裏サイトとは、非公式のコミュニティサイトです。そこでは学校に関する話題や情報などを書き込み、コミュニケーションを取ることができます。2019年9月時点で全国に10万件以上の裏サイトが確認できており、その実態は在校生や卒業生が作成している場合が多いです。そもそも学校の裏サイトは、2000年代に誕生し、公になったきっかけは2007年に兵庫県で発生した男子生徒の自殺事件です。
裏サイトの全てが自殺につながるようなものというわけではなく、中にはしっかりとした管理の元に運営されているサイトも存在します。一方で、閉鎖的な空間の限られた情報のやりとりで、誹謗中傷からいじめにつながる書き込みなど、学校の生徒を傷つける表現が目立つこともしばしば。
例えば、在校生を実名で罵ったり、在校生本人だけでなく保護者までが誹謗中傷にさらされる場合もあります。また個人情報(住所や電話番号など)を書き込むなどといったことが繰り返されます。
近年、クローズ型SNSやLINEでの誹謗中傷も発生していますが、個人が特定しやすいSNSは誰が書き込みしているか特定できるため、証拠を押さえたうえで対応できる場合が多いです。しかし学校裏サイトでは、匿名で書き込みがされるため、加害者の特定が難しく、インターネット上でのトラブルのため学校側の介入が難しいことが現実です。
学校の裏サイトで起きる誹謗中傷の実例
学校裏サイトでは、どんな誹謗中傷によるトラブルが起こっているのでしょうか。以下にいくつかの事例を紹介します。
匿名SNSによる個人情報を書き込み
匿名SNSに住所や電話番号などの個人情報を書かれ、いたずら電話や不審なメールなどが送りつけられるなどのことがあります。個人情報を書き込むことは完全に違法な行為です。
裏サイトに子供への誹謗中傷に対して注意
学校裏サイトで子供が誹謗中傷を受けている事実を知り、親が学校裏サイトに直接書き込みをしたことがありました。その匿名SNS上では何も起こりませんでしたが、別の匿名掲示板で、その父親の誹謗中傷がされることに。
誹謗中傷の書き込みをしたの犯人が友人
ある日、Aさんが学校裏サイトを確認すると、匿名で自分の悪口が書かれていることを発見。その後、書き込んだ人は友人のBさんだったことが発覚し、Aさんは精神的なショックを受けて不登校になってしまいました。
教師が学校裏サイトの書き込みを把握していた
教師が問題の書き込みを認知していたにもかかわらず、直接指導できなかったという事例です。生徒から「同級生Oがある生徒の悪口を書き込んでいる」という報告を受けました。その後、調査して問題の書き込みを見つけますが、伏せ字などを用いた表現が多かったため、特定をすることが難しい状態でした。
学校全体で決めた方針は、生徒全体に15時間ネットリテラシーに関する教育を行うことなりました。結果として、問題の書き込みはすぐに消されました。本人だけでなく、身近な友人とのトラブルから保護者など、ネット上でのトラブルは様々。簡単に解決することが難しくなっていることが現状です。
SNSでの誹謗中傷の問題点
ネット上でプライベートな事柄や、誹謗中傷・名誉毀損にあたる書き込みをする行為をネットいじめといいます。とくにメールやSNS(Twitter・LINE等)を使って悪口を言う行為などです。以下に具体的な例をまとめました。
- 「気持ち悪い」「近寄るな」などの発言がLINEで送られてきた
- Twitterに「地元の××では○○は嫌われ者」と書き込まれる
- 複数の知らないアカウントから誹謗中傷のコメントが届く
こういった書き込みは、誰が誹謗中傷を書いたかがわからない不気味さがあります。上記のような発言が原因で不登校になってしまう子供が増えていくことも事実です。昔に比べていじめがインターネットを使って行われていることが、大人たちが対応しにくいことにつながっています。
匿名による悪口は書いた本人の特定が困難です。また、ネット上で書き込みが行われると、いじめの対象範囲が広がり、被害も拡大しやすい傾向もあります。
SNSでの誹謗中傷への対策
以下にSNSでの誹謗中傷への対策を紹介します。どうしていいかわからない場合は、ぜひ参考にしてみてください。
①削除申請
運営者に削除を申請することで、誹謗中傷に該当するコメントを削除してもらえる可能性があります。TwitterやInstagramなど多くのSNSには通報するシステムが搭載されています。しかし残念なことに、この削除申請は法的拘束力がなく、運営側が拒否すると削除してくれない可能性もあるので注意が必要です。
②利用をやめる
嫌なメッセージが届かないように、SNSを使うことを辞めてしまうことも手段の一つです。そもそもアカウントがなければ、誹謗中傷に悩まされることもなくなります。快適な日常を送るために利用しないことでいじめの回避につながります。また、一度アカウントを消すことで、新しい気持ちでスタートすることも可能なので、誹謗中傷を行うアカウントとの干渉を断つことが可能です。
③SNS上の設定を使う
Twitterであれば鍵をかける機能があり、認証していない人は自分のアカウントへの干渉が不可能になります。他にもFacebookやInstagramなどのSNSも同じような機能を搭載しているので安心して利用ができます。
困ったときの相談先
どうしても誹謗中傷が収まらず、保護者や親族まで巻き込まれたことで、被害が拡大してしまうことにも繋がります。そんな時は学校側だけでなく、他にも相談する先があるので困ったときは頼りましょう。
警察に相談
警察はSNSや匿名掲示板で誹謗中傷の書き込みをすることは犯罪行為に値することを公表しております。「パシリにするぞ」「菌が移る」「援助交際をしている」など書き込まれている場合は通報する必要があるということです。ネットいじめやSNSいじめは警察が関与するべきと考えられているため、警察に相談することで誹謗中傷の被害が収まることに繋がります。
いじめ相談窓口に相談
行政サービスでいじめに対する相談を受け付けています。文部科学省では子供を救うために様々ないじめ相談窓口を設置してるので、誹謗中傷の解決策を提示してくれるかもしれません。
弁護士に相談
被害が拡大し、手が付けられない状態の場合は、弁護士に相談することも視野に入れましょう。罪の意識がない場合は、誹謗中傷が止むことはなくなりません。そのため、いじめをやめさせるために相手を特定して損害賠償などの通告をすることに効果があります。教師でも対応できないケースは、プロの力を頼ったほうが速やかに解決に近づくでしょう。
まとめ
誹謗中傷はSNSだけでなく学校の裏サイトでも起こっています。子供に安心できるネット利用を促すために、誹謗中傷への対策を知っておきましょう。
・運営者に削除申請を出す
・SNSの利用時に設定を見なおす
・警察や弁護士に相談することも視野に入れる