YouTubeは、動画のアップロードや動画の閲覧など、様々な用途で楽しむことが出来る動画共有サービスです。誰でも無料で気軽に投稿することが出来るというメリットがあるのですが、中には隠し撮りという形で撮影をし、本人の許可なく動画を投稿する悪質な人も存在します。
そのようなYouTube動画をきっかけに、ストーカー被害や誹謗中傷被害など、様々な嫌がらせに遭う可能性があるので「自分が写っているYouTube動画を削除してほしい」と思っている人も多いのではないでしょうか?
そのような方の為に、この記事ではYouTube動画で肖像権侵害をされた場合の対処方法について具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
肖像権の概要について
「YouTube動画で肖像権を侵害された」と言ってみたものの「本当に肖像権侵害なのだろうか?」と思っている人も多いのではないでしょうか?
肖像権の意味を調べてみたら「本当は肖像権侵害ではなかった」という場合もあり得ますので、まずは「肖像権とは何か?」というところから確認していきましょう。
肖像権は2つの権利から成り立っている
そもそも、肖像権とは何なのでしょうか?肖像権は、以下のような権利を指しています。
肖像権とは?
肖像権とは、肖像に帰属される人権のこと。
簡単に説明しますと「人の容姿を写真や動画で撮影したとしても、それらをその人の許可なく世の中に公表するのは辞めましょう」という権利です。
肖像権は、これから説明する「プライバシー権(人格権)」と「パブリシティ権(財産権)」の2つの権利から成り立っています。
プライバシー権とは?
肖像権を構成している一つ目の権利は「プライバシー権」です。
プライバシー権とは?
プライバシー権とは、自分の情報を他人に知られないようにコントロールすることが出来る権利のこと。
よく「一般人にはプライバシー権があり、芸能人にはプライバシー権がない」という人もいますが、そのようなことはなく、全人類がプライバシー権を持っています。
パブリシティ権とは?
肖像権を構成している二つ目の権利は「パブリシティ権」です。
パブリシティ権とは?
パブリシティ権とは、特定の人物の肖像や氏名を独占利用することが出来る権利のこと。
「誰が特定の人物に該当するのか?」ということですが、これはアイドルやスポーツ選手、そして芸能人などが当てはまります。つまり「一般的に名が知れている人」のことを指しているのです。
パブリシティ権侵害を主張するためには、以下3つの条件全てに当てはまっていなければなりません。
パブリシティ権侵害が認められる条件
- 肖像や氏名を無断で利用されている。(鑑賞の対象となる商品に利用されている)
- 他社製品との差別化の為に、肖像や氏名を商品としている。
- 肖像や氏名がもつ顧客吸引力(経済的な利益を生み出す力のこと)を目的としている。
肖像権侵害を認めてもらうためには条件を満たす必要がある
ここでは、肖像権侵害が認められやすいパターンと認められにくいパターンについて具体的に説明していきます。
肖像権が認められやすいパターン
まずは、肖像権が認められやすいパターンに付いて説明していきます。
肖像権侵害が認められやすいパターン
- 個人を特定することが出来るほど鮮明に写っている場合。
- 無許可で動画を投稿した場合。
- 拡散性が高いと考えられる媒体に投稿した場合。
上記のいずれかに当てはまるYouTube動画であれば、肖像権侵害は認められやすいと考えられます。
例えば、道端のインタビュー動画に自分が映り込んでおり、「あれ?○○さんだ!」と一発で分かるほど鮮明に写っていた場合は、肖像権侵害が認められやすいと言えます。
また、撮影の許可は出していたがYouTubeへの投稿は許可していないという場合も、肖像権侵害が認められやすい傾向にあります。
「拡散性が高いと考えられる媒体」に関しては、YouTubeの他、TwitterやInstagramなども当てはまりますが、ライングループや個人トークなどへの投稿は「拡散性が低い」と捉えられる可能性が高いので注意しましょう。
肖像権侵害が認められにくいパターン
反対に肖像権侵害が認められにくいパターンは以下の通りです。
肖像権侵害が認められにくいパターン
- 外を出歩いていただけの自分が映り込んでいた場合。
- 公共施設や公道にいた場合。
- 人物を特定することが出来ない場合。
例えば「あれ?○○さんかな?似ている人かな?」というレベルであると、肖像権侵害は認められにくいと考えられます。
また、散歩をしていただけ、ランニングをしていただけ、というように「それを他人に見られたとしても、あなたに不利益が生じることはないのでは?」と捉えられるようなものは、肖像権侵害が認められにくい傾向にあります。
YouTube動画で肖像権を侵害された場合は連絡フォームから削除依頼を出そう
YouTube動画で肖像権を侵害された場合は、YouTubeが設置している「連絡フォーム」からYouTube動画の削除依頼を出しましょう。
「どうやって削除依頼を出せば良いの?」という人も多いと思いますので、連絡フォームから削除依頼を出すまでの手順を具体的に説明していきます。
削除依頼手順
- 肖像権を侵害されている動画の右下にある「...」から「報告」をクリックする。
- 「権利の侵害」から「プライバシーの侵害」を選択し、「次へ」という項目をクリックする。
- 「YouTubeプライバシーガイドライン」の中から「プライバシーの侵害の申し立て手続き」を選択して「次へ」という項目をクリックする。
- 「プライバシー侵害の申し立てを行いたい」をクリックする。
- 「アップロードしたユーザーへの連絡」に記載されている文章を読み、「次へ」をクリックする。
- YouTubeのコミュニティガイドライン」を確認した場合は「既にコミュニティガイドラインを確認した」を選択し、未確認の場合は「まだコミュニティガイドラインを確認していない」をクリックする。(コミュニティガイドラインを既に確認したという前提で進めていきます)
- 「プライバシー侵害の申し立て手続きの不正使用によるアカウントの停止」に記載されていることに同意出来るのであれば「次へ」をクリックする。
- 「自分の画像または氏名」と「その他の個人情報」の片方を選択し、「報告したい内容、肖像権侵害に該当する箇所」などの必要事項を記入した後に「送信」をクリックする。
- YouTubeに対して動画の削除依頼完了。
YouTube動画の削除依頼申し立てを行った場合、YouTube動画をアップロードした本人は、原則48時間以内に何かしらの措置を取らなければいけないというルールがあります。
仮に48時間以内に何らかの措置を取らなかった場合は、指摘されたYouTube動画が強制的に削除されます。
削除依頼申し立てを行ったユーザーに関しても48時間以内であれば、申し立て撤回手続きを行うことが出来ますので「やはり、削除依頼を撤回したい」という場合も焦らず対処するようにしましょう。
YouTube動画で肖像権侵害をされた場合の対処方法まとめ
この記事では、YouTube動画で肖像権侵害をされた場合の対処方法について具体的にまとめてみました。
もう一度おさらいしますと、YouTube動画で肖像権侵害をされた場合の対処方法は以下の通りです。
まとめ
- YouTubeの「連絡フォーム」から削除依頼を出す。
仮に動画をアップロードしたユーザーが削除に応じてくれない場合は、法的手段を用いてYouTube動画を削除する方法もあります。
法的な手段を用いて削除を試みる場合は、法律に関する知識も必要となってきますので、法律関係に自信がない方は弁護士の力を借りるようにしましょう。