日本の女子プロレスラーとして活躍していた木村花さん。先日命を絶たれてしまったという悲しいニュースが流れてしまいましたが、その原因はインターネット上での誹謗中傷だと言われています。
誹謗中傷は立派な犯罪として扱われる場合があるのですが「そもそも誹謗中傷は、どのような罪に問えるの?」と思っている人も多いのではないでしょうか?
そのような方のために、この記事では木村花さんをtwitterで誹謗中傷した犯人はどのような罪に問われる可能性があるのか?ということについて具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
名誉毀損罪に問える可能性がある
木村花さんをTwitterで誹謗中傷した犯人は、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
「名誉毀損罪って何?」という人も多いと思いますので、ここでは名誉毀損罪の概要や名誉毀損罪が認められるケースなどを具体的に説明していきます。
名誉毀損罪とは?
まず、名誉毀損罪とは何なのでしょうか?ここでは、名誉毀損罪の概要について説明していきます。
名誉毀損罪とは?
名誉毀損罪とは、不特定多数、又は多数に対して特定の人物の信用や名声といった社会的地位・社会的評価を落とし、条件を満たした場合に成立する犯罪。
名誉毀損罪が成立しますと、損害賠償を請求される(民事上)他、名誉毀損罪(刑事上)の責任を追及され「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」という刑を科されることがあります。
誹謗中傷は様々な罪に問える可能性がありますが、その罪の中でも名誉毀損罪は比較的重い罪です。
しかし、刑事上の名誉毀損罪が認められたとしても、「被害状況によっては犯罪が成立しない場合がある」ということも刑法上で規定されていますので注意しましょう。
名誉毀損罪が認められるケース
名誉毀損罪は以下の条件を満たしている場合に限り成立します。
名誉毀損罪が成立する条件
- 公然と
- 事実を摘示して
- 人の名誉を毀損している
「言葉の意味がいまいち分からない」という人も多いと思いますので、それぞれの言葉の意味を分かりやすく説明していきます。
「公然と」とは?
「公然と」とは、不特定多数という意味。不特定、又は多数のどちらかに当てはまっているのであれば、「公然と」という条件を満たしたことになる。
「特定という似たような言葉があるが、特定と不特定は何が違うの?」という人もいるかと思いますので、「特定」と「不特定」の違いについても簡潔に説明していきます。
例えば、「渋谷の道を歩いている人たち」と「塾のメンバー」の2つのグループがあったとしましょう。この場合、渋谷の道を歩いている人たちは「不特定」に当てはまり、塾のメンバーは「特定」に当てはまります。
「多数」に関しては、何人からが多数に当てはまるという明確な基準は定められていませんが、過去の事例を参考にしますと「15人以上」であれば多数だと認められる可能性が高くなります。
「事実を摘示して」とは?
「事実を摘示して」とは、本当か嘘かということは別にして、具体的な事柄を用いているかどうかということ。「証拠によって決められるものかどうか」という解釈をされることもある。
例えば、「お前はバカだ!」という誹謗中傷があったとしましょう。しかし、「バカかどうか」を決める明確な基準は定められていません。人によっては「いや、あなたは天才だ」という人もいるでしょう。
バカかどうかを証拠を用いて決めることが出来ないので、この事例で言いますと「事実を摘示していない」と言えます。それでは、「あいつはコンビニAで万引きをしていた!」という情報があったとしましたらどうでしょうか?
これに関しては、コンビニAの防犯カメラを確認することで、本当に万引きをしていたのかどうかを判断することが出来ます。
つまり、証拠を用いて本当か嘘かを判断することが出来ますので、この事例で言いますと「事実を摘示していた」と言えます。
法律の世界でいう「事実」という言葉は、「真実」という言葉とは別の意味で使われることが多い傾向にありますので、注意しましょう。
「人の名誉を毀損している」とは?
「人の名誉を毀損している」とは、特定の人物の社会的名誉や社会的評価を落としていること。
「誹謗中傷によって自尊心が傷つけられてしまったという場合も、人の名誉を毀損しているから名誉毀損罪になるの?」と思う人も多いかと思いますが、その場合、名誉毀損罪には当てはまりません。
「人の名誉を毀損している」という場合の「名誉」に関しては、社会的名誉や社会的評価などを指しています。
「誹謗中傷によって自尊心を傷つけられた」という場合は、どちらかと言いますと「名誉感情」の方に当てはまりますので、この場合は「名誉感情の侵害」として扱われる可能性が高いと言えます。
侮辱罪に問える可能性がある
木村花さんをTwitterで誹謗中傷した犯人は、侮辱罪に問われる可能性があります。
「侮辱罪って何?」という人も多いと思いますので、ここでは侮辱罪の概要や侮辱罪が認められるケースなどを具体的に説明していきます。
侮辱罪とは?
まず、侮辱罪とは何なのでしょうか?ここでは、侮辱罪の概要について説明していきます。
侮辱罪とは?
侮辱罪とは、誹謗中傷によって相手を見下し、はずかしめた場合に条件を満たすことで成立する犯罪。
侮辱罪が成立しますと、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される「拘留」、又は1,000円以上10,000円未満の制裁金を納付する必要がある「科料」のどちらかが科されます。
誹謗中傷は様々な罪に問えますが、その中でも侮辱罪は比較的軽い罪と言えます。
侮辱罪が認められるケース
侮辱罪は以下の条件を満たしている場合に限り成立します。
侮辱罪が成立する条件
- 事実を摘示していなくても
- 公然と
- 人を侮辱している
「あれ?名誉毀損罪と同じ条件なのでは?」と思う人も多いと思いますが、以下のような違いがあります。
侮辱罪と名誉毀損罪の違い
- 名誉毀損罪は、「事実を摘示した場合」に成立する。
- 侮辱罪は、「事実を摘示していない場合」でも成立する。
名誉毀損罪で説明して通り、「事実を摘示する」というのは、本当か嘘かということは別にして、具体的な事柄を用いているかどうか、もしくは証拠によって決められるものかどうかという意味でした。
つまり、「事実を摘示していない場合」というのは、具体的な事柄を用いていなくても、証拠によって判断することが出来ないことでも成立するということです。
例えば、「お前は本当にバカだな!」「気持ち悪すぎる!」という誹謗中傷は、証拠を用いて判断することができないので、名誉毀損罪には当たりません。
しかし、証拠を用いて判断することが出来なくても成立する侮辱罪には当てはまる可能性が高いと言えます。
信用毀損罪に問える可能性がある
木村花さんをTwitterで誹謗中傷した犯人は、信用毀損罪に問われる可能性があります。
「信用毀損罪って何?」という人も多いと思いますので、ここでは信用毀損罪の概要や信用毀損罪が認められるケースなどを具体的に説明していきます。
信用毀損罪とは?
まず、信用毀損罪とは何なのでしょうか?ここでは、信用毀損罪の概要について説明していきます。
信用毀損罪とは?
信用毀損罪とは、嘘の情報を流したり人を騙したりすることで、相手の信用に傷をつけ、条件を満たした場合に成立する犯罪。
信用毀損罪が成立しますと、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科される場合があります。
信用毀損罪が認められるケース
信用毀損罪は、以下の条件を満たした場合に限り成立します。
信用毀損罪が認められる条件
- 虚像の風説を流布している
- 偽計を用いている
- 人の信用を毀損している
- 人の業務を妨害している
「お前って元詐欺師だろ?」「こいつの親って万引き犯らしいよ」という誹謗中傷は、信用毀損罪に当てはまる可能性が高いと言えます。
木村花さんをtwitterで誹謗中傷した犯人はどのような罪に問えるのかまとめ
この記事では、木村花さんをtwitterで誹謗中傷した犯人はどのような罪に問えるのかということについて具体的にまとめました。
もう一度おさらいすると、木村花さんをtwitterで誹謗中傷した犯人は、以下の罪に問われる可能性が高いと言えます。
まとめ
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- 信用毀損罪
今では当たり前のようにネット上で誹謗中傷のコメントを送っている人がいますが、誹謗中傷は立派な犯罪です。
あなたが木村花さんのように誹謗中傷の被害に遭ってしまった場合は、我慢せず、すぐに弁護士や警察に相談するようにしましょう。