実際には犯罪を起こしていないにも関わらず、犯罪を起こしたと疑われてしまう冤罪。この冤罪だけが独り歩きをして、関係のない人が誹謗中傷をされることもあります。実際に、あおり運転の事件から「ガラケー女」だと間違われてしまい、数多くの誹謗中傷を受けたという人も存在しました。
この事件のように「冤罪が原因で誹謗中傷の被害に遭っており、困っている」という人も多いのではないでしょうか?そのような方の為に、この記事では冤罪が原因で誹謗中傷の被害に遭っている場合に検討したい3つの対策方法を具体的にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
冤罪が原因で誹謗中傷をされた場合に行いたい3つの対策方法
ここでは、冤罪が原因で誹謗中傷をされた場合に行うべき3つの対策方法を具体的に説明していきます。
犯人や噂の情報元を特定する
まずは、あなたに対して誹謗中傷をしている犯人や冤罪に至った情報元を特定していきましょう。
インターネット上で誹謗中傷をされた場合
近年は、インターネット上での誹謗中傷被害も多くなっていますが、インターネット上で犯人を特定する場合は「発信者情報開示請求」を行いましょう。
発信者情報開示請求とは、あなたを誹謗中傷した犯人の個人情報の情報開示を求める制度です。具体的に特定することが出来る情報は以下の通りです。
ポイント
- 氏名
- 住所
- インターネット上に登録した電話番号とメールアドレス
- 発信日時
発信者情報開示請求を行う場合は、裁判所の「仮処分請求」もしくはプロバイダに対する「任意開示請求」のいずれかを起こしましょう。ただ、任意開示請求は法的な強制力がないため、場合によってはプロバイダが請求に応じない可能性もあります。
ポイント
プロバイダとは、回線をインターネットに接続するといった役割を担っている通信事業者のこと。
請求に応じない場合は「発信者情報開示請求の控訴」を起こしましょう。控訴を起こして裁判に勝訴すると、プロバイダは発信者の情報を開示してくれるようになります。
この段落のまとめ
- インターネット上で誹謗中傷をされた場合は、発信者情報開示請求をしよう
口頭で誹謗中傷をされた場合
あなたが口頭で誹謗中傷をされている場合は、犯人調査の専門家に依頼して犯人を特定してみましょう。もちろん、あなた自身が「自分の悪口を言っている人は誰?」と同僚や先輩に聞き込みをしても良いのですが、火に油を注ぐリスクが伴うため慎重に行わなければいけません。
例えば会社であなたが、友人Aさんに「この情報元はどこか分かる?」と聞いたとしましょう。あまり考えたくはありませんが、友人Aさんは「知らない」と嘘をつき、情報元の犯人Bさんに「何だか犯人を特定しようとしているらしいぞ」という情報を伝えることもあります。
そうなった場合、犯人のBさんが逆上して、さらにエスカレートした誹謗中傷をしてくる可能性もゼロではありません。エスカレートしてしまうと、あなたの冤罪がさらに増えていく可能性があるので、できる限り弁護士や探偵といった専門業者に任せるようにしましょう。
この段落のまとめ
- 口頭で誹謗中傷をされた場合は、弁護士や探偵といった「犯人調査の専門家」に依頼をしよう
郵送やFAXで誹謗中傷をされた場合
郵送やFAXといった差出人不明の怪文書によって誹謗中傷をされた場合は、その怪文書を必ず保管しておいてください。郵送の場合は消印から、FAXの場合は送信元のFAX番号から、そして筆跡から犯人を特定できる可能性があります。
ただ、近年は犯人も賢くなってきているため、筆跡で特定されないように、パソコンのWordを使ったり文字の切り貼りを行ったりと様々な対策をしてきます。
手書きでの怪文書であれば筆跡が特定できるため、筆跡鑑定を依頼してみても良いですが、もしも筆跡が特定できないような怪文書であれば警察や専門家に頼ってみましょう。
郵送で送られてきた場合は、犯人の指紋が残っている可能性があるので、警察や探偵事務所といった指紋鑑定を行ってくれる専門家に連絡してみましょう。
この段落のまとめ
- 郵送やFAXで誹謗中傷をされた場合は、その郵送物やFAXは必ず捨てないようにしよう
フリーメールにて誹謗中傷をされた場合
フリーメールによって誹謗中傷をされた場合は、必ずそのメールを保存しておきましょう。フリーメールは一見特定が難しいように見えますが、ヘッダー情報から様々な情報を得ることが出来ます。
メールのヘッダーからは以下のような情報を特定することが出来ます。
ポイント
- 犯人のIPアドレス
- 犯人が利用しているプロバイダやメールサービス
- 利用したメールサーバー
ヘッダー情報を得たい場合は、インターネット上で誹謗中傷をされた時と同じように「発信者情報開示請求」を行いましょう。誹謗中傷の被害の大きさにもよりますが、警察が送信者を特定するために動いてくれるという状況は稀です。
だからと言って、個人で特定することは手続きの手間や技術的な問題から厳しいと考えられますので、インターネット上の誹謗中傷に強い法律事務所を活用してみましょう。
この段落のまとめ
- フリーメールにて誹謗中傷をされた場合は、そのメールを保存しておこう
証拠を集める
犯人や噂の情報元をある程度特定することが出来たら、次は冤罪が原因で誹謗中傷をされたという「決定的な証拠」を集めましょう。ここでは、状況別に証拠を集める方法を具体的に説明していきます。
インターネット上で誹謗中傷をされた場合
インターネット上で誹謗中傷をされた場合は、以下のようなものが証拠として認められます。
ポイント
- 誹謗中傷をされた文面のスクリーンショット
- 誹謗中傷をされた媒体名・サイトのURL
- 投稿日時
- 投稿者のIPアドレス
- 発信者情報開示請求によって特定することが出来た情報
スクリーンショットのみの保存だけでは「画像の加工」を疑われる可能性があるため、紙で印刷しておくと、なお良いと言えます。
口頭で誹謗中傷をされた場合
口頭で誹謗中傷をされた場合は、以下のようなものが証拠として認められます。
ポイント
- 誹謗中傷をされたというメモ
- 録音データ
- 録画データ
誹謗中傷をされたというメモを残す場合は、必ず「日時・場所・犯人の情報・誹謗中傷をされた具体的な内容」を記載するようにしましょう。とっさに録音・録画を行うことは難しいと考えられますが、強い証拠材料になりますので、途中からでも録音・録画をしておきましょう。
郵送やFAXで誹謗中傷をされた場合
郵送やFAXで誹謗中傷をされた場合は、以下のようなものが証拠として認められます。
ポイント
- 誹謗中傷の文章が書いてある郵送物やFAX
- 消印
消印からは、郵便物を発送した郵便局の所在地を特定することが出来ます。
フリーメールにて誹謗中傷をされた場合
フリーメールで誹謗中傷をされた場合は、以下のようなものが証拠として認められます。
ポイント
- メールのヘッダー
- 犯人の氏名
- 送信日時
- 誹謗中傷の文章が記載されているメール、または文章のスクリーンショット
メールの本文だけをメモ帳にコピーした場合や、本文だけのスクリーンショットだけでは証拠材料として弱いので、なるべくメール自体を削除せずに残しておきましょう。
刑事告訴や民事損害賠償請求を行う
冤罪による誹謗中傷であなたに「危害が及んだ」という事実を証明することが出来れば、刑事告訴や民事控訴を起こすことが出来ます。
基本的に「名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害のいずれかで被害を受けている」といった告訴状を警察署に提出することで、刑事告訴を起こすことが出来ます。そして犯人に直接、損害賠償請求を行い、示談交渉が上手くいけば、あなたは損害賠償金を受け取ることが出来きます。
冤罪が原因で誹謗中傷をされた場合の対策方法まとめ
この記事では、冤罪が原因で誹謗中傷をされた場合の対策方法についてまとめてみました。もう一度おさらいすると、冤罪が原因で誹謗中傷をされた場合の対策方法は以下の通りです。
ポイント
- 犯人や冤罪の情報元を特定する
- 決定的な証拠を集める
- 刑事告訴や民事損害賠償請求を行う
冤罪で誹謗中傷をされた場合、一人で解決していくことは難しいと考えられるため、無理せずに警察や専門家に相談するようにしましょう。