誹謗中傷やなりすましなど、現在問題視されているインターネットいじめ。2019年の10月に公表された文部科学省の調査によると、インターネットによるいじめの認知件数は16,334件でした。つまり、一日当たり約44件のインターネットいじめが発生しているという計算になります。
毎日数多くのいじめが発生している中で「そもそも、どのようないじめが発生しているのだろうか?」という疑問を抱えている人も多いと思います。そのような方のために、この記事では実際に発生したインターネットいじめの事例について具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
ネットいじめの事例1:ブログに誹謗中傷の書き込みをされた
ここでは、ブログに誹謗中傷の書き込みをされたというネットいじめの事例を紹介していきます。
ネットいじめの事例
自分のブログを持っている高校生のAさん。ある日、Aさんは同じ学校に通うBさんについての記事をブログに投稿しました。Aさんは、Bさんを中傷する意図はなかったそうですが、そのブログ記事を見たBさんはショックを受けて学校を休みがちになってしまいます。
その後、Aさんは偶然学校でBさんを見つけ、Bさんに対して挨拶をしますが、BさんはAさんの挨拶を無視してしまいました。挨拶を無視されたことに対して腹を立てたAさんは、自分のブログにBさんを誹謗中傷する書き込みを行います。
そのブログ記事をBさんが発見し、さらにBさんは落ち込んでしまいました。それ以来、Bさんは学校に行くことが出来ず、不登校になってしまいます。
学校は、Bさんを誹謗中傷したAさんから事情を聴き、その後の対応を検討しました。話し合いの結果、Aさんは誹謗中傷のブログ記事を投稿したということを認めたため、学校はAさんに対して誹謗中傷したブログ記事を削除するよう命じました。
ブログ記事を削除した後、Aさん及び保護者を学校に呼び、校長が直接指導と事情説明を行います。被害者のBさんに対しては、担任や学年主任が中心となり、家庭訪問を繰り返し、Bさんの心のケアと精神的な安定を図れるよう複数回に渡り支援をしました。
ネットいじめの事例2:非公式サイトの掲示板に誹謗中傷の書き込みをされた
ここでは、ブログに誹謗中傷の書き込みをされたというネットいじめの事例を紹介していきます。
ネットいじめの事例
学校非公式サイトの掲示板に、個人名を取り上げられながら「性的な逸脱行為をしている」という誹謗中傷の書き込みをされてしまったAさん。Aさんによると、掲示板に書き込まれた情報はすべて無実だったそうです。
誹謗中傷の書き込みを見たAさんは、保護者や警察に相談することをためらっていましたが、教員に「学校に行きたくない、学校を辞めたい」と伝えたことで、学校は今回のトラブルを把握します。今回のトラブルを把握した学校は、掲示板に投稿された書き込みの削除要請を行うために掲示板の管理者を特定しようと試みます。
その後、掲示板の管理者を特定し、書き込みの削除要請をした結果、Aさんを特定することが出来る記事のみを削除してもらうことに成功しました。
今回のトラブルを受けて学校はすぐに全校集会を開き、指導することを考えましたが、Aさんのプライバシーを守るためにすぐには集会を開きませんでした。
掲示板に投稿された誹謗中傷の書き込みが削除された後に集会を開き、全校生徒に向けて誹謗中傷の書き込みはいじめになるということを伝えます。その結果、トラブルが発生した掲示板では誹謗中傷の書き込みがされなくなったと言われています。
ネットいじめの事例3:偽の学校ホームページ上で誹謗中傷や個人情報が掲載された
ここでは、偽の学校ホームページ上で誹謗中傷や個人情報が掲載されたというネットいじめの事例を紹介していきます。
ネットいじめの事例
ある日、学校の公式ホームページに似た「偽の学校ホームページ」が公開されたそうです。偽の学校ホームページには、生徒や教師の実名、誹謗中傷、盗撮した写真などが掲載されていました。偽の学校ホームページを発見した保護者から学校に連絡があったことで、学校は今回の事案を把握します。
事案を把握した学校はいじめが発生した地域の青少年センターに相談し、偽の学校ホームページに対して書き込みの削除依頼を行いました。削除依頼を行った結果、偽の学校ホームページは閉鎖されましたが、再度同じようなホームページが公開されたと言われています。
また、悪質な書き込みをした加害者を特定することは最後までできなかったと言われています。
今回の事案を受けて学校は、全校集会を開き「情報モラル」についての指導を行いました。また、各学級で「情報モラル(社会の秩序)について」という授業を実施すると同時に、保護者向けに文書を配布して注意喚起を呼び掛けたと言います。
ネットいじめの事例4:なりすまされてプロフィールサイトを作成された
ここでは、なりすまされてプロフィールサイトを作成されたというネットいじめの事例を紹介していきます。
ネットいじめの事例
部活動で人間関係のトラブルがあったAさん。ある日、Aさんが作成したように見えるプロフィールサイトを誰かに作成され、プロフィールサイトには様々な誹謗中傷の書き込みがされていました。Aさんの友人がプロフィールサイトを発見し、Aさんに伝えたことでAさんは初めてプロフィールサイトの存在を把握します。
Aさんは今回の事案を学校に相談し、学校と共にプロフィールサイトに対して書き込みの削除依頼を行いました。削除依頼を行った2日後には、書き込みが削除されていたと言います。
書き込みの削除が行われた後、部活でミーティングを開き、誹謗中傷の書き込みがあったことと注意喚起をしたところ、後輩のBさんが部活動の顧問に「誹謗中傷の書き込みをした」ということを申し出たそうです。
ネットいじめが発生した学校では、加害者のBさんに注意を行うと同時にAさんとBさんの保護者にも今回のトラブルについて説明しました。Bさんと保護者はAさん宅に出向き、Aさんと保護者に対して謝罪を行ったと言います。
その後、学校では全校生徒に対して「誹謗中傷の書き込みは重大な結果をもたらす」ということを認識させると同時に、様々な機会を作り、情報モラルの向上を図っているそうです。
ネットいじめの事例5:チェーンメールで誹謗中傷された
ここでは、チェーンメールで誹謗中傷されたというネットいじめの事例を紹介していきます。
ネットいじめの事例
ある日、「Aさんはいじめを繰り返し行っている。私は決して許すことはできない」という内容が書かれたチェーンメールが複数人の生徒に送信されました。しかし、Aさんからの聞き込みによると身に覚えのない事実無根の内容だったことが発覚します。
Aさんは今回の事案を保護者に伝え、保護者が学校に連絡をしたところ学校も始めて今回のトラブルを把握します。学校は、メールに記載されている内容があまりにも悪質な事から警察に相談する必要があるとAさんの保護者に伝え、保護者は警察に被害届を提出しました。
その後、実際に調査が進み、計4人の生徒が今回のいじめに関与していたということが明らかになります。
学校は、4人の生徒に対してチェーンメールや誹謗中傷は犯罪行為に当たるということを理解させると同時に、Aさんを苦しめる悪質な行為であるということも理解させました。また、加害者生徒の保護者にも指導の協力を要請したと言います。
実際に発生したインターネットいじめの事例まとめ
この記事では、実際に発生したインターネットいじめの事例について具体的にまとめました。もう一度おさらいすると、実際に以下のようなインターネットいじめが発生しています。
まとめ
- ブログに誹謗中傷の書き込みをされた 。
- 非公式サイトの掲示板に誹謗中傷の書き込みをされた。
- 偽の学校ホームページ上で誹謗中傷や個人情報が掲載された。
- なりすまされてプロフィールサイトを作成された。
- チェーンメールで誹謗中傷された。
インターネット上のいじめは年々増加傾向にあります。もしも、インターネットでいじめられた場合は、通っている学校にすぐ相談・連絡しましょう。