ツイッターは世界中で便利に使われているSNSですが、匿名性が高いことや140文字という限られた文字数での表現に誤解が生まれやすいことから、誹謗中傷や悪口などのトラブルにつながりやすいという側面があります。
またツイッターのリツイート機能は、ボタン一つで情報を便利に拡散できる反面、誹謗中傷や悪口も瞬く間に拡散するため、慎重に使うべき機能でもあります。過去には、発信者ではなくリツイートをしただけの人物が名誉毀損で訴えられたという事例もあるほどです。
今回は、ツイッターで誹謗中傷を受けた場合の対策について解説します。
本記事で分かること
- ツイッターが禁じている誹謗中傷にあたる内容とは?
- ツイッターで誹謗中傷を受けた場合に取れる対策とは?
- ツイッターで誹謗中傷を行う相手を特定する際に注意すること
ツイッターユーザーであれば、知っていて損はないでしょう。ぜひ参考にしていただけたらと思います。次の記事についても合わせて参考にしてみてくださいね。
-
誹謗中傷はどこからが名誉毀損罪になる?具体的な定義や侮辱罪・信用毀損罪との違いも
ネット上で誹謗中傷にあたる記事や言葉を書き込むことで、名誉毀損罪が成立する可能性があります。しかし、どこからが名誉毀損罪になるのか明確に知っている人は少ないでしょう。そこでこの記事では、ネット上の誹謗 ...
続きを見る
もくじ
ツイッターが禁じている誹謗中傷内容
ツイッター社は、ツイッタールールという決まりを設け、ルールに反する行為を禁じています。その中でも誹謗中傷に関連して禁じられている内容は以下の通りです。詳しくは、ツイッタールールを参照してください。
- 暴力をほのめかす脅迫行為や、暴力を賛美する行為。
- テロ行為や暴力的過激主義をほのめかしたり助長する行為。
- 児童の性的搾取に関連した例外のない全ての行為。
- 人種、民族、出身地、社会的地位、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、深刻な疾患を理由とした他者への暴力・脅迫・嫌がらせ、およびそれらを助長する行為。
- 自殺や自傷行為を助長したり扇動する行為。
- 自宅電話番号や住所などの他者の個人情報を、明確な許可を受けることなく公開・投稿する行為、および、これらを脅迫したり他者に促す行為。
- 本人の同意なく撮影・配布された、私的な画像や動画の投稿。
ツイッターで誹謗中傷を受けた際の対策
ツイッターで誹謗中傷を受けた際に取れる対策には「投稿削除依頼」「発信者の特定」「責任追及」の3つがあります。それぞれ具体的に見てみましょう。
投稿削除依頼
前項で解説したツイッタールールに違反する場合、ツイッターに削除依頼を申請することで削除してもらうことが可能です。
しかし、削除してもらえるかどうかはあくまでもツイッター側の判断となります。削除依頼が受理されず削除対応をしてもらえなかった場合には、裁判所の仮処分を利用する方法があります。仮処分を利用する場合には、通常弁護士への依頼が必要になります。
発信者の特定
ツイッター上の誹謗中傷被害は、一度だけではなく複数回に渡り執拗な攻撃を受けることが多いです。誹謗中傷投稿のうちの一つを削除してもらえたとしても、同じような投稿の削除依頼を申請し続けなければなりません。さらに、投稿を削除されたことにより相手を逆上させ、誹謗中傷がさらにエスカレートすることもあります。
長期間にわたり同じ相手からの誹謗中傷が続く場合には、相手を特定するという対策が必要になってきます。しかし、ツイッター社が相手の情報を保有しているわけではないため、発信者情報開示請求手続きを裁判所で申し立て、IPアドレスやプロバイダを辿りながら相手を特定する作業が必要になります。
発信者情報開示請求は、以下のような流れで進められます。
- ツイッター社に対して、IPアドレスやタイムスタンプ等の開示を請求する
- IPアドレスからプロバイダを特定する
- プロバイダに対して、発信者情報の開示を請求する
プロバイダにログを保存させるための仮処分手続きや、発信者の情報を開示させるための訴訟が必要になるため、相手を特定させるまでには半年近くかかることがほとんどです。
発信者情報開示請求については次の記事で詳しく解説しています。
-
発信者情報開示請求で誹謗中傷には毅然と対応を!開示請求の内容やステップを詳しく解説
インターネットはとても便利な反面、真実ではない内容を書き込まれる被害に遭う場合があります。こうした誹謗中傷や名誉毀損に対する対処方法は、法律でも明確に規定されており、正しい方法を取ることで誹謗中傷の発 ...
続きを見る
責任追及
ツイッターに誹謗中傷を書き込んだ相手を発信者情報開示請求を通して特定した後には、相手に対して責任追及をする段階に入ります。責任追及にも様々な方法があります。
損害賠償・慰謝料の請求
誹謗中傷を行った相手に、損害賠償や慰謝料の請求をすることができます。まずは相手に任意で支払いを求め、応じない場合には損害賠償や慰謝料請求のための訴訟を起こす必要があります。
名誉回復のための措置の要求
誹謗中傷被害においては、損害賠償や慰謝料の請求など、金銭を要求するだけでは済まない場合があります。謝罪広告や取り消し広告の掲示により、名誉回復のための措置を要求できる場合があります。この措置は、多くの場合損害賠償や慰謝料の請求と同時に行われます。
刑事告訴
損害賠償や慰謝料、名誉回復のための措置は民事裁判ですが、警察に被害届を出すことで相手に対して刑事告訴を行うことも可能です。
誹謗中傷における被害内容としては、名誉毀損罪、侮辱罪、業務妨害罪、信用毀損罪などが考えられます。この場合には、誹謗中傷を受けたことにより、実損が生じたことを明確に証明できる必要があります。
ツイッターの誹謗中傷対策として相手を特定する際の注意点
ツイッターに誹謗中傷投稿を行う相手を特定する際には、以下の点に注意する必要があります。
ツイッターのIPアドレス保存期間が不明瞭
ツイッター社が保有している誹謗中傷投稿を行う相手のIPアドレスは、保存期限が不明瞭であることから、正しいステップでできるだけ早く手続きを行う必要があります。
プライバシーポリシーには最大18ヶ月、削除されたアカウントの復活可能期間は30日間と記載されているものの、捜査機関に向けた情報が記載されているページでは「ごく短期間」という記載がなされているのみです。
アカウント削除に備えてスクリーンショットを保有しておく
ツイッターは、実質的に同じ人物がいくつでもアカウントを保有することができます。捨て垢という、誹謗中傷をするためのアカウントを作る人も多く、発覚したり炎上したりすると本人がアカウントごと削除することも多いです。
アカウントが削除されて情報が分からなくなることに備えて、誹謗中傷を行うアカウントのプロフィールや該当する投稿画面のスクリーンショットを保存しておくことをおすすめします。
まとめ・ツイッター上での誹謗中傷は放置せず対策を!
ツイッター上で誹謗中傷を受けた際の対策について解説しました。簡単にポイントをまとめます。
ツイッター上の誹謗中傷対策・まとめ!
- ツイッターでは、ツイッタールールという決まりを設け、ツイッター上でのルールに反する行為を明確に禁じている
- ツイッターで誹謗中傷被害に遭った場合には、ツイッターへの投稿削除依頼を申請することができるが、削除するかどうかはツイッター側の判断となる
- 度重なるツイッター上での誹謗中傷への対策としては、誹謗中傷発信者を特定し責任追及を行うことが必要になる
- ツイッターで誹謗中傷を行う人物を特定する場合、不明瞭なツイッターのログ保存期限に注意し、早めに対策を取る必要がある
- 誹謗中傷を行う相手が該当投稿やアカウントを削除する可能性を視野に入れてスクリーンショットなどの証拠を残すことが重要
ツイッター上での誹謗中傷は放置せず、正しいステップで対処しましょう。